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  • 【レポート】AML対応情報交換会を開催(後編)

2020.03.30

Orbis活用およびAML対応情報交換会
グローバル企業データベース「Orbis」は、AML/CFT業務、具体的には海外送金時や海外投融資におけるCDD・KYC※の高度化にお役立ていただいています。今回は、「Orbis」を導入済の金融機関様を主対象に、どのようなシーンで「Orbis」を活用されているのか、AML/CFT※の実務上の課題などをテーマに情報交換会を開催しました。

コンテンツとしては、ユーザー様事例として福岡銀行クオリティ統括部寺沢様、伊予銀行コンプライアンス統括部高瀬様に発表いただき、主催者講演、交流型のグループディスカッション、3時間半に及ぶものでした。
イベントレポートとして当日の内容の一部をご紹介します。(後編)

※CDD(Customer Due Diligence):顧客等の本人確認や属性情報の確認等を指す
※KYC(Know Your Customer):顧客の属性確認・チェック
※AML(Anti-Money Laundering):マネー・ローンダリングに関する一連の対策
※CFT(Countering the Financing of Terrorism):テロ資金供与対策

主催者講演1:ビューロー・ヴァン・ダイク草羽氏 Orbisの拡充情報とコンプライアンスカタリストのご紹介

ビューロー・ヴァン・ダイク 草羽様
1.Orbisの現状
2019年中にOrbisの収録企業数は2億9,500万件から3億6,300万件に増加しており、特にイラン等の中東、中国、アフリカが大きく増加しました。
2020年には香港、シンガポール、マレーシアの情報が大きく拡充される予定です。

2.Orbisでの検索ポイント
Orbisでは現地語検索や住所、企業IDナンバー等を組み合わせた検索が行えます。特に中国企業の場合は、「百度」や「Google China」を利用して現地語社名を特定し検索することでヒット率が上がります。


3.Compliance Catalyst紹介
Compliance Catalystは、Orbisに収録されている3億6,000万件超の企業情報をもとに、以下のフローでコンプライアンス業務がワンストップで行えます。
①情報取得→②リスク評価→③ポートフォリオ管理→④継続モニタリング→⑤記録保管

また、あらかじめ自行のリスク評価モデルを設定することで、リスクを即座に見つけエスカレーションすることで、迅速な意思決定を可能にします。その他、承認フローの構築が可能で、レポート出力機能もあり、幅広い運用のご要望に対応できるツールになっています。

主催者講演2:帝国データバンク 三本木 亮太「顧客リスク評価の高度化サポートのご紹介」

帝国データバンク 三本木
昨年4月、金融庁は「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」を一部改正し、金融機関は全顧客に対して顧客リスク評価を実施することとなりました。

一般的に、金融機関は融資取引先のリスクを評価する上で十分な情報を保有していますが、純預金先の情報は十分に保有していないことが多いです。純預金先は口座開設時の情報しかないケースが多いため、顧客リスク評価する上で必要とされるハイリスク業種に該当するか否か、貿易有無、海外拠点等の情報が往々にして不足しています。

そこで帝国データバンクでは、法人純預金先のCIF※とTDB企業コードをマッチングすることで各属性情報を法人純預金先リストに付与し、金融機関の顧客リスク評価業務をサポートすることができます。

帝国データバンクは旧商号・旧住所など過去の情報も含め企業情報を保有していることから、名寄せ時に高いマッチング率が期待でき、預金先の属性情報をご提供できます。具体的には、金融機関から法人純預金先の中で情報不足項目をご依頼いただき、帝国データバンクが提供可能な属性情報をご提示するというものです。

以上のように、帝国データバンクがサポート可能なマネロン対策を参加行庫の皆様にご紹介しました。

※CIF(Customer Information File):「シフ」と呼ばれる金融機関で用いられる顧客管理番号のこと

交流型のグループディスカッション

グループディスカッションでは、海外のBOをどのように調べているか、BOの特定方法をテーマに、以下4つの論点で活発な議論が交わされました。

①どのような先をチェックしているか
②特定後どのような調査をしているか
③BOの情報がなかった場合、どのように対応するか
④証跡をどのように残すか

①どのような先をチェックしているのか
仕向・被仕向の実質的支配者やシップファイナンス先、コルレス先を確認しているという金融機関が多く見受けられました。エリアとしては中国東北三省や香港、東南アジア、アメリカ、ロシア、中東を見ているという声が多く、金額は10万ドルを一つのバーとしているという声も多くありました。一般的に送金金額の多寡がリスクの大小との相関はないものの、30万ドルをハイリスク、10万ドルをミドルリスクとして設定している金融機関や、送金額が10万ドル以上かつリスク対象国、送金額10万ドル以上かつ業種(海産物卸売や中古車販売業)等、条件に応じてリスクベースで対応しているという声もありました。

②特定後どのような調査をしているか
Orbisを検索して把握しているという声が多く、次いで企業ホームページを見ているという声が多かったです。またヒアリングベースで調査しているという声もありました。Orbisは実質的支配者の情報だけでなく、企業情報も多くありますので、Orbisを確認してデータがなければ、情報がないこと自体も一つの情報としてリスクベースで対応しているという意見も出ていました。

③BOの情報がなかった場合どのような対応をするか
リスクベースアプローチに則り対応しているという声が多かったです。次いで、現地企業の謄本取得やアニュアルリターンを見ているという結果でした。また、第二線でKYCチェックシートを作って証跡を残す対応をしているという参加者もいました。

④証跡をどのように残すか
紙ベースという声が多かったです。保存期間を約7年としている場合や、CRMにPDF等と共に経緯を含めて保管しているという意見もありました。

グループディスカッションに参加されて、初めて顔を合わせる金融機関さま同士で、規制対応への取組方法や取り組み状況、具体的な確認事項・確認方法、業務上のお悩みなど有意義な情報交換がなされ、当初予定していた時間よりも延長したほど非常に意見交換が盛り上がりました。
当会に参加された感想をご紹介します。
・Orbisの普及による業界全体のAML高度化は望ましいことだと思います。今後も情報提供をお願いいたします
・本日は貴重な情報を得ることができ、大変感謝しております。今後ともよろしくお願いいたします
・他行様との情報交換が出来て大変有意義でした。また、ディスカッションのあるセミナーへ参加したいです

帝国データバンクでは、今回のようなユーザー様が主役となり、サービスの活用や規制対応についての情報交換ができる「場」を今後もご提供していきます。

ご関心のあるテーマでのイベントがありましたらぜひご参加ください。

前編:【レポート】AML対応情報交換会を開催

【レポート】AML対応情報交換会を開催(前編)

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■サービス
グローバル企業情報データベース『Orbis』

■活用事例
[事例]マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与対策(AML/CFT)の強化を実現
[事例] 地域金融機関が海外企業データベースを活用して「実質的支配者」の確認を強化

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