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  • 老舗2万6千社に学ぶ生き残る企業の条件~世界一の老舗大国~

2016.10.07

 「老舗酒蔵が女性向け新商品発売」「老舗旅館全焼2人行方不明」-これは最近の新聞の見出しですが、こうしたメディアの記事だけでなく、お店の看板などでも「老舗」という言葉をしばしば目にする機会があると思います。
 老舗とは、もともと「まねる」「似せる」をあらわす「しにせる」に由来する言葉だと言われています。しにせるには、「先祖代々の家業を守る」「長く商売をして信用を得る」という意味があり、そこから年齢を重ね経験を積むという意味の「老」と店をあらわす「舗」の2つの漢字を当てて「老舗」となったといわれています。
 「老舗」という言葉は実は定義があいまいな言葉です。創業から何年たったら老舗企業と呼ぶのかというのは、実は明確な基準がある訳ではありません。新聞などメディアで使われるときの老舗企業というのは、それこそ創業50年の企業にも枕詞として使われているのをしばしば見かけます。また、業種によっても老舗のとらえ方が違ってくることもあるでしょう。たとえば、IT業界のような比較的歴史の浅い業界であれば、創業から20年も経過していれば「老舗のIT企業」といってもおかしくないかもしれません。とはいうものの、一般的に100年以上事業を続けてきた企業、事業者を指すというのが大方の人が納得する定義ではないでしょうか。

日本は世界一の老舗大国

 帝国データバンクでは毎年、「長寿企業の実態調査」と題して、創業100年以上の企業の分析調査を行っています(本稿では長寿企業を老舗企業の同義語として取り扱っています)。今年は9月2日に発表しましたが、同調査によりますと、日本には、老舗企業が2万6144社もあるのです。これだけの老舗企業がある国は他にはないと言われており、日本は世界一の「老舗大国」といえます。

創業時期から見た老舗 ~江戸開府以前創業の老舗が150社も~

 では、こうした老舗企業を創業時期で見ていきたいと思います。
 圧倒的に明治時代以降が多く、老舗企業の約9割を占めています。明治維新以降、日本は国力増強のため殖産工業化を進めてきましたが、それに伴い、資本主義が形成された時代でありました。
 その中で会社設立が急増したのが明治時代だったのです。しかし、江戸時代創業の老舗企業も2,619社あり、江戸開府以前に創業した企業も141社にのぼります。日本には400年以上代々続いてきた会社が140社以上もあるということは驚くべきことではないでしょうか。
 帝国データバンク史料館が実施した「新”百歳”企業13,000社実態調査」によると、2013年から2022年までの今後10年間に100周年を迎える企業は13,122社にのぼります。毎年約1,300社が新たに老舗企業として加わる計算になり、日本の老舗企業数は今後ますます増加していくでしょう。
 業種としては、製造業が最も多く、卸売業、小売業が続きます。大正時代に産声を上げた「新百歳企業」は、モノづくりで日本の高度経済成長を牽引してきた製造業と、モノの流通を担う卸売業、小売業が中心だといえるでしょう。
 主な「新百歳企業」として、パナソニック(1918年)、住友商事(1919年)、ヤマト運輸(1919年)、小松製作所(1921年)など日本を代表する企業が名を連ねることになり、ますます老舗企業に注目が集まりそうです。

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