自治体内設置型シンクタンク~自治体の政策立案力を強化
2013.01.29
政策立案機能強化のための4つの課題
1.人の壁
自治体内シンクタンクの研究員は、一般に自治体職員が勤めることになります。しかし、職員が必ずしも研究員としての訓練を受けているとは限りません。
2.資金の壁
長期の財政難で、自治体は自治体内シンクタンクの設置・運営の予算を確保しにくくなっています。少ない予算で設置・運営し、成果を上げなければなりません。
3.仕事の壁
自治体内シンクタンクは政策の“研究”と“立案”を担う役割にありますが、政策“実施”を同時に求められることもあります。こうなると既存の企画部門との機能的な区別がなくなり、シンクタンクとしての役割を果たせなくなることがあります。
4.時の壁
自治体の投資となる自治体内シンクタンクは、地域の実情に応じた政策案を創り政策に反映し、地域住民の生活水準を向上させるという結果が早期に求められます。しかし中長期的課題への期待が多いのが実情で、結果を出すまでの時間的制約があります。
自治体内シンクタンクの成功例とは?
1.「政策管理」助言機能の充実
原課(担当課・事務主管課)が取り組んでいる政策管理に関し、助言(コンサルティング)を行う。特に原課では解決が難しいと思われる課題に対し、異なった見地からの助言により課題解決を図る点が評価されています。
2.「政策の窓」蓄積機能がある
必要とされるであろう政策を予測し事前に取り組む機能があります。たとえば、新たな法律の制定に対応して、自治体条例を先手先手で用意しておくといったことです。
とりわけ、1.「政策管理」助言機能が充実している自治体内シンクタンクは、自治体のなかでも信頼を得ることができています。
また、こうした特徴を獲得するため、政策開発にむけた調査機能も同時に持つことが望ましいといえます。これは将来予測や経済波及効果測定などの技術です。しかし、このようなテクニックは必ずしも自治体職員(研究員)が持っている必要はなく、外部への委託でも可能です。つまり、外部からうまく人材を取り入れている自治体内シンクタンクほど、より良い政策を創出し注目を集めていることが多いといえます。
地方分権が進められていくなか、地方自治体は政府主導による政策に頼ることなく、それぞれが地域の特性を活かした独自の施策を立案・実践する必要性はますます高まっていくと考えられます。そのためには、たとえ「シンクタンク」という形態をとらないとしても、企画部門の強化は必須といえるのではないでしょうか。