コンサルティングの現場から~1:経営者の2大お悩みごと
2016.01.29
TDBカレッジ内の他のコンテンツやこのコラム、全国で展開しているセミナー等に触れていただく中で「帝国データバンクって信用調査や与信管理以外にもこんな支援メニューを持っているんだ!」と帝国データバンクに対するイメージの幅を広げていただけると幸甚です。
経営者の2大お悩みごと~資金の問題に悩んでいない経営者はいるが・・・
私たちは、全国の経営者の方から経営にかかわる問題点についてお話を聞く機会が数多くありますが、その中で経営者から聞くお悩みごとのトップ2を挙げろと言われれば、資金繰りや資金調達など1.資金に関する課題と2.ヒトに関する課題になります。
さまざまな企業経営者とお話をしていると気づいたことが一つあります。それは、「資金の問題で悩んでいない経営者はいるが、ヒトの問題で悩んでいない経営者は存在しない」ということです。
ヒトの問題では、後継者の問題や幹部人材育成の問題、中堅社員のスキルアップや新入社員の採用や基礎教育の問題などステージ別の問題もあれば、製造現場の社員のスキルアップや営業に携わる社員の営業スキルの問題まで、非常に範囲が広く内容も多岐に渡ることが特徴です。この分野で「問題がない」と言い切れる経営者は稀有な存在で、むしろ多くの経営者が「そこがうちの最大の経営課題だ」と感じています。
ヒトの問題の「真因」は、本当にヒトの問題か?
例えば、「従業員のスキルにバラつきがある!」という事象は、最低限の行動を取らせる仕組みがないという「プロセスの問題」だったり、「幹部人材が主体的に考えない!」という事象は、トップダウン型の指示が多く、「考える訓練」の場、機会をつくっていないなど、その原因は、別のところに問題点がある場合がほとんどです。
要するに、この「別の問題」こそが悩める経営者が解決すべき課題であったり、解決のための重要なプロセス(解決方法)であったりするのです。
経営者は、自社の真の課題に気づいていない?
しかし、自社の問題点や表面的な事象に気づいていても、その事象をもたらしている要因や根本原因(真因)まで、気づかれていることは少ないように思います。
誰もが、人に話をしていて、考え方がまとまった経験をお持ちだと思います。人間は、一人で思考を深堀するよりも、自分以外の第三者を鏡とした方が、より深い思考ができるものなのです。(この点は脳科学の面からも実証されています。)
我々が、日々経営者と向き合い実践していることは、まさにこの「経営者の鏡になること」です。
会社に残すべきは「答えのみ」か「答えを導くプロセス」か
外部の支援者を活用する場合、お子さんにつける家庭教師をイメージしていただくとよいでしょう。答えしか教えてくれない家庭教師と、解き方を教えてくれる家庭教師がいた場合、どちらをお子さんの家庭教師につけたいか。答えは明白です。自ら解答する力が身につかない限り、お子さんの役には立ちませんね。
答えしか渡してくれないコンサルタントは、その答えがいくら秀逸でも、そのコンサルタントがいなくなれば、会社には何も残りません。我々がご提供しているのは、「考えるプロセス」です。プロセスを習得しておけば、新たな問題に遭遇しても、自社で考え、問題を解決する力が蓄積されます。その1つの支援方法が「質問」という手法なのです。
質問を受け、考えて、それを言葉に出す。これを繰り返すことで、経営者の方は、自社の課題に気づき、それらを幹と枝、葉に分類してご自身の思考を強化されているのです。
ビジネス支援コンサルティング事業を通じて、帝国データバンクには、「正しく質問するノウハウ」と「全国の支援事例」が蓄積されています。これからこの経営支援コラムを通じて学術的な見地からではなく、実際の支援事例から生まれた「気づき」を経営者の方々と共有できればと考えています。
次回のテーマは、「脱!指示待ち人材/考えて行動する人材」です。ご期待ください。