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  • 新しい生活様式における消費行動の変化を捉える~景気のミカタ~

2020.10.16

新型コロナウイルス収束後の消費行動を捉えるために・・

今回の景気のミカタは、新型コロナウイルスの感染拡大にともない変化した家計の消費行動について焦点をあてています。

個人向けサービスの落ち込み大きく

図表1:個人消費DIの推移
内閣府が発表した2020年4~6月期の実質GDP(国内総生産、2次速報値)成長率は、前期比7.9%減(年率換算28.1%減)となり、戦後最大のマイナス成長を記録しました。特にGDPの6割弱を占める個人消費が大きく落ち込みました。在宅勤務の拡大などでパソコンやエアコンなどがプラス要因でしたが、その一方で外出自粛や移動制限などがマイナス要因となり、外食や旅客輸送、娯楽サービス、宿泊などが減少に寄与したとみられます。

個人消費は4~6月期の最大の下落要因となっていましたが、帝国データバンク「TDB景気動向調査」で算出している個人消費DIをみると、4月に過去最低の水準まで落ち込んだのち、5月以降は低水準ながらも少しずつ上向いてきました(図表1)。
しかしながら、個人消費の構成要素によって今回の新型コロナウイルスから受けた影響度は異なります。個人消費に関連する業種は景況感が大きく悪化していますが、とりわけ飲食店や旅館・ホテル、娯楽サービスなどを含む「個人向けサービス業」の落ち込みは非常に大きなものでした。「個人向けサービス業」の景気DIは、2019年中は概ね「小売業」と同水準で推移していましたが、2020年4月には過去最低となる水準(5.8)まで低下しました。その後、上向き傾向で推移していますが、9月時点においても「小売業」(32.1)に対して「個人向けサービス業」は19.9にとどまっています。

家計支出において明暗が分かれる

図表2:新型コロナウイルスにより消費行動に変化がみられた主な品目
こうした傾向は需要側統計でも表れています。10月9日に発表された総務省「家計調査」(二人以上の世帯)によると、8月の実質消費支出は前月比1.7%増となり2カ月ぶりに増加しました。新型コロナウイルス感染症により消費行動に大きな影響がみられた主な品目をみると、在宅勤務による巣ごもり需要や、外出自粛による影響などがうかがえます。

具体的には、マスクやガーゼを含む「保健用消耗品」が前年同月比146.9%増と大幅に拡大したほか、「ゲームソフト等」(同79.5%増)や「チューハイ・カクテル」(同44.4%増)、ウェットティッシュを含む「他の家事用消耗品のその他」(同22.7%増)などがあげられます(図表2)。一方で、「航空運賃」(同95.9%減)や「パック旅行費」(同87.3%減)、店舗における「飲酒代」(同64.7%減)など旅行や飲食関連の支出が8月においても前年同月より急減しています。家計支出においても明暗が分かれる結果となりました。

一方、新型コロナ禍では家計におけるネットショッピングの拡大も特徴的です。総務省「家計消費状況調査」(二人以上の世帯、10月9日発表)によると、8月のネットショッピングの利用世帯割合は50.0%で、2019年8月(42.8%)より7.2ポイント上昇しています。さらに支出額では1万6,483円(前年同月比8.8%増)で、とりわけ食料や家電、衣類・履物、保健・医療などへの支出が急拡大しました。

私自身も、今回の新型コロナ禍においてインターネットを通して初めてノートパソコンを購入しましたが、十分に満足できるものでした。新しい生活様式に対応するなかで、新しいニーズも生まれています。今後の景気回復には、企業において消費者の行動変化をいかに捉えるかがカギとなるでしょう。

執筆:情報統括部 産業情報分析課 窪田 剛士

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