決算書とは? |財務会計のイロハのイ
2021.06.01
これまで連載していた「企業審査人シリーズ」は、回を重ねるたびに専門的な内容が多くなってきました。また、ウェビナーの開催に伴い、財務の基礎から学びたいという方も増えてきたことから、ワンエピソードがコンパクトな初心者向けシリーズをスタートさせます。文末にポイントの整理のほか、もっと学びたい人に向けて関連コラムも紹介していきますので、ぜひご活用ください。先輩社員のレクチャーのもと、新入社員とともに財務会計の基礎を固めていきましょう。
新入社員「ありがとうございます。学生時代は歴史を専攻していたので、会計や財務の知識はほぼ素人ですが、一日でも早く戦力になれるように頑張ります!」
先輩社員「では、早速、決算書と聞いてどんなイメージを浮かべますか?」
新入社員「そうですね。経営者や投資家が見ている難しい資料という印象です。チラッと見たことがありますが、漢字や数字が大量に並んでいて、読み解くには相当勉強しなければならないんだろうな、と思いました」
先輩社員「そうですね。初見では抵抗感があるかもしれません。ですが、決算書は平たく言ってしまうと会社の成績表といったところです」
新入社員「成績表ですか。なんだか学校を思い出して、急に親近感が沸いてきました。ということは、その会社の得意な分野や苦手な分野がわかるんですか?」
先輩社員「その通り。ただ、ある程度の知識がないと、それを見つけるのは容易ではありません。決算書と一言に呼んでいますが、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、キャッシュフロー計算書、注記表など複数の帳票によって成り立っています。さらに申告書を加えると、資料は膨大になります」
新入社員「すみません、メモが追いつきませんでした…。どうしてそんなに複数の帳票にわかれているんですか?」
先輩社員「集計期間やタイミング、目的がそれぞれ異なるためです。例えば、家計簿をつけていますか?」
新入社員「いえ、お金の管理はズボラでして…。でも社会人になったので、きっちりつけていこうと思っています!」
先輩社員「良い心がけです。家計簿でいうと、どれだけ今月使ったかと、今いくらお金が残っているかがわかりやすくなりますよね。これが会社になると、何に使ったのかをグループに分けて集計したり、現金以外にいくらの財産があるかを計算したりしなければなりません。そうやって、膨大な情報を誰でもわかるようにまとめたものが決算書です」
新入社員「誰でもわかるように、ですか?」
先輩社員「はい。決算書を作成する時には守るべきルールがあります。会計基準といいますが、これはまた今度お話しします。すべての会社が同じルールで資料を作成していると、読み手にとってはどんな良いことがあるでしょう?」
新入社員「見比べやすいです!」
先輩社員「そうです。最初に言ったとおり決算書は会社の成績表ですから、比較できないと善し悪しがわかりません」
新入社員「決算書があれば良い会社か、悪い会社かわかっちゃうんですね」
先輩社員「ところが、決算書だけではわからないこともたくさんあります。就職活動の時に、会社のどんなところをみていましたか?」
新入社員「あっ、会社の雰囲気や、どのような人が社長なのかを重視していました。それは決算書を見てもわかりませんよね・・・」
先輩社員「そういうことです。決算書などから把握できる数字の情報を定量情報、今話したような数値以外の情報を定性情報と言いますのであわせて覚えておいてください」
新入社員「定量と定性ですね。塩と砂糖をよく間違えるので、これは逆に覚えないように気をつけます!」
次回のテーマは、損益計算書と貸借対照表です。
ポイントの整理
「キャッシュフロー計算書」、「注記表」など複数の帳票が存在する
2:決算書等から把握できる情報を「定量情報」
数値以外の情報を「定性情報」
という
関連コラム
「そもそも会社は何のために決算をするのか、ご存知ですか?」
「それは・・・自分の会社がしっかり儲かっているかどうかを、社長さんが確認するためでしょうか?」
「そうですね。決算には会社の業績測定という大きな側面があります。経営者は決算書を見ることで、今後の方向性や課題を見出して、対策を立てていくといった想像ができますよね」
決算書入力を効率化してみませんか
審査・与信管理部門では「決算書情報の入手および分析に時間がかかる」などのお悩み・経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。導入事例資料をダウンロードできます。