企業の約6割がGoToトラベルの早期再開を望む~景気のミカタ~
2021.11.19
今回の景気のミカタは、GoToトラベル事業の再開に向けた検討が進められているなかで、同事業への企業、とりわけ観光業界の期待について焦点をあてています。
緊急事態宣言等の解除で厳しかった観光業界に明るい話題も
こうしたなか、2021年11月から大規模イベントの1万人制限が緩和されるなど、明るい話題も増えてきました。政府では2020年12月以来停止しているGoToトラベルなど観光需要の喚起に向けた検討を進めているほか、千葉県では「ディスカバー千葉」の再開をはじめとする自治体独自の施策も続々と行われています。
新型コロナウイルスの感染が拡大して以降、国内の観光需要はほとんどなくなるほどの打撃を受けてきました。この間の宿泊業界や旅行業界の景気動向をみても、その衝撃の大きさが劇的に表れています(図表1)。
一回目の緊急事態宣言が発出された2020年4月頃には、宿泊業界から「外国人観光客がゼロ。日本人宿泊客も激減し、休館日が多くなった」や「運営するホテルをすべて臨時休館している」といった話が多く聞かれていました。さらに旅行業界からも「他県への移動自粛や不要不急の外出禁止などの措置により、旅行が皆無となった」など、企業からは悲鳴にも似た意見が聞かれました。
その後、新型コロナウイルスの新規感染者数が増減を繰り返すなかで、GoToキャンペーン事業の開始で観光業界はギリギリのところで踏みとどまることができていました。
企業の約6割がGoToトラベルの早期再開を希望
帝国データバンクが実施したGoToトラベルの再開時期に関するアンケート調査[1]によると、「2021年度内(2022年3月まで)」と考えている企業が6割近くにのぼっています(図表2)。とりわけ「すぐにでも(11月中)」(24.7%)を含めて、3社に1社が「2021年中」と回答するなど、多くの企業が早期の再開を望んでいました。
特に、GoToトラベル関連業種(「飲食店」「旅館・ホテル」「娯楽サービス」)では、2022年3月までの再開を望む企業が76%、そのうち40%はすぐに再開してほしいという様子が強く表れていました。
もちろん、多くの企業は政策を待っているだけでなく、徐々に売り上げを伸ばしている旅館・ホテルではテレワークや長期滞在プラン(ワーケーション)などに対応した取り組みを進めるなど、さまざまな工夫を行っています。
こうした状況のなかで、10月に緊急事態宣言等が全国的に解除され、観光関連業界の景況感も上向いてきました。そしてGoToトラベルの再開により観光需要が盛り上がれば、直接的に好影響を受ける業種に加え、多くの関連する業種にも波及していくと予想されます。それに加えて、消費マインドの高揚を通じて個人消費の盛り上がりも期待でき、日本経済の活性化につながっていくと言えそうです。
[1] 帝国データバンク「GoToトラベルに関する企業の動向アンケート」(2021年11月9日発表)
(情報統括部 産業情報分析課 主席研究員 窪田剛士)
景気動向調査からのお知らせ
【YouTube】TDB景気動向チャンネル
【Twitter】TDB景気動向[公式]
■景気動向調査モニターへのご協力のお願い
本コラムシリーズで紹介する景気DIや見通しは、ビジネスを展開する企業の皆さまの声の集まりです。
マスコミ各社や関連省庁など広く社会に発信しています調査結果は、国会審議等でも取り上げられ、政府や官公庁など政策立案にも生かされています。
景気動向調査に回答して、皆さまの声を日本経済に反映してみませんか?
景気動向調査のモニター登録はこちら
https://h096.tdb.co.jp/mypage/regist/bTgT3RTg3sgg3TdBF