産業分類|調査報告書から学ぶビジネス教養
2023.05.09
【サマリー欄:主業、従業】
今回は「産業分類」についてです。一般的には業界、業種という表現が良く使われますが、企業が営んでいる事業内容を統一された基準により、4段階の粒度でグループ分けした「産業分類」について、その概要と確認方法、活用法を学んでいきましょう!
産業分類とは
本コラムでは統計法に基づいて定められており、国内で最も利用されている日本標準産業分類と弊社独自の帝国データバンク産業分類を取り上げています。
・日本標準産業分類は事業所単位
・帝国データバンク産業分類は法人単位
日本標準産業分類とは
昭和24年の設定後、産業の変化等に対応する形で改定が行われており、現在の日本標準産業分類は平成25年に改定された13回目の改定版にあたります(令和5年3月時点)。
1.産業分類の適用単位
事業所で行われている経済活動によって事業所の産業を決定しています。一事業所内で単一の分類項目に該当する経済活動を行っていれば、その経済活動で産業分類が決定しますが、複数の分類項目に該当する経済活動が行われている場合は、主要な経済活動によって産業分類で決定します。
2.産業分類の構成
大分類、中分類、小分類、細分類の4段階構成であり、その構成は、大分類 20、中分類 99、小分類 530、細分類1,460 となっています。
[参照:総務省「日本標準産業分類(平成25年10月改定)(平成26年4月1日施行)」]
帝国データバンク産業分類とは
また、業種コードは評点格付テーブルや財務諸表の基準比率導出に活用されているほか、評点をしない業種(金融機関や公務など)の管理にも用いられています。
1.産業分類の適用単位
法人単位で行われている経済活動によって各企業の産業分類を決定しています。一法人内で単一の分類項目に該当する事業を行っていれば、その事業内容で産業分類が決定します。複数の分類項目に該当する事業内容が行われている場合は、事業内容の中で最も売上高が多い内容を主業として分類し、2番目に売上高が多い内容を従業として分類しています。
2.産業分類の構成
大分類、中分類、小分類、細分類の4段階構成であり、その構成は、大分類 14、中分類 91、小分類 669、細分類1,359 となっています(令和5年3月時点)。
※帝国データバンク産業分類(平成7年3月改定)
産業分類の主な活用方法
日本標準産業分類をもとに各種政府統計で確認したい産業の定量情報を無償で調べることが出来ます。
例えば、経済構造実態調査では産業小分類別の企業数、売上(収入)金額、費用や付加価値額が公表されており、各金額を企業数で除算することにより、1企業あたりの各金額を算出して産業としての収益性を調べることが出来ます。また、中小企業実態基本調査では産業中分類別に中小企業の従業者数や資産及び負債・純資産、売上高及び営業費用、事業承継の状況、海外展開と輸出の状況、研究開発の状況などを確認することで、各産業の様々な経営環境の実態を定量的に俯瞰することが出来ます。
2.帝国データバンク産業分類
帝国データバンク産業分類コードを条件指定することで該当する企業数をカウントしたり、該当企業の企業概要情報(COSMOS2)を確認することができます。
また、帝国データバンクが提供する調査報告書の評価「評点」は、対象企業の産業分類に基づいた基準により判定され、財務分析の評価も同一産業分類の分布に応じて判定されています。
自社の産業分類の検索方法
e-Statという、日本の統計が閲覧できる政府統計ポータルサイトで統計分類・用語の検索欄があります。ここでキーワード検索に自社の主要な事業内容を入力し、検索を行った後、infoをクリックすると詳細な産業分類の情報が表示されます。
2.帝国データバンク産業分類
帝国データバンクのホームページには「TDB企業サーチ」という個別企業を検索する頁があるので「企業名等で探す」で検索し、自社が収録されている場合は、自社の業種細分類が表示されます。
以上 書籍やインターネット上に溢れている業界や業種の定義と粒度は様々ですが、今回は国内で最も主要な産業分類である日本標準産業分類と帝国データバンク産業分類を紹介しました。
次回は、サマリー欄の「評点」から、評点の見方について解説していきます。
[作成者:株式会社帝国データバンク TDBカレッジ事務局]
信用調査報告書について
また、定期的に信用調査報告書の読み方についてのセミナーを行っていますので、是非ご参加ください。
セミナーページはこちら
関連コラム:調査報告書の読み解き方コラムシリーズ
・従業員数・設備の内容から「ヒト」「モノ」の能力を測る<従業員・設備概要>
・社長の経営経験・リーダーシップを判断<代表者>
・企業の歴史は将来を占う指針<系列・沿革>
・最大6期の業績から収益性をチェック<業績>
・支払い・回収条件は?取引先との関係は?<取引先>
・メインバンクとの関係は?資金調達力は?<取引銀行>
・必要な資金を確保しているか?不良債権はないか?<資金現況>
・企業の現在と将来像をつかむ<現況と見通し>
・企業経営の健全性を把握<財務諸表>