自動車関連業種におけるEV普及の影響/参入企業の実態調査|TDB特別企画レポート
2023.10.05
EV普及、自動車関連企業の約5割で「マイナス」
~市場の変化に対応、4割超がEV参入の意向~
※調査期間は2023年7月18日~31日、調査対象は2万7,768社で、有効回答企業は1万1,265社(回答率40.6%)。
分析対象は「自動車関連」業種に属する企業315社。
「自動車関連」業種ではEV普及により約5割の企業が「マイナスの影響」
全業種の割合に比べ、「自動車関連」業種における「マイナスの影響」の割合は35.6ポイント高かった。また、「影響はない」は同27.0ポイント低くなっており、EVシフトによる影響は基幹部品がエンジン(内燃機関)から電気機器へと変わっていく「自動車関連」業種で鮮明に表れている様子がうかがえた。
※「自動車関連」業種は、『自動車関連製造』(「内燃機関電装品製造」「自動車製造」「自動車車体・付随車製造」「自動車用内燃機関製造」「自動車操縦装置製造」「自動車部分品・付属品製造」)、『自動車関連卸売』(「自動車卸売」「自動車部分品・付属品卸売」「中古自動車卸売」)、『自動車関連小売』(「自動車(新車)小売」「中古自動車小売」「自動車部分品・付属品小売」「二輪自動車小売」)、『自動車関連サービス』(「自動車賃貸」「自動車一般整備」「自動車車体整備」「自動車電装品整備」「その他の自動車整備」「自動車・自動車エンジン再生」)を含む
「自動車関連」業種では、4割超の企業がEV事業に参入済み/予定
合計すると『参入済みもしくは参入予定』の企業は44.1%(全業種比+34.1ポイント)となり、4割超の企業が何らかのかたちでEV市場に関わっていく意向を持っている。一方で、「参入予定なし」は30.8%(同▲36.6ポイント)だった。
『参入済みもしくは参入予定』の割合を業界別にみると、自動車小売などを含む『自動車関連小売』は55.0%と突出して高かった。自動車部品卸売などの『自動車関連卸売』(43.2%)および自動車部品製造などを含む『自動車関連製造』(41.6%)が4割台で続いた。
まとめ
このようななか、欧州連合(EU)は2023年3月、2035年にエンジン車の新車販売を全面禁止する方針を変更し、環境に優しい「合成燃料(eフューエル)」使用のエンジン車を容認することで合意したほか、イギリス政府は同年9月にガソリン車などの新車販売を禁止する期限を2030年から2035年に延期すると発表した。
こうしたEVシフトをけん引してきた欧州における戦略の転換・見直しは、EV一辺倒ではなく多様な選択肢で車の脱炭素化を進めている日本にとっては追い風となろう。今後も日本の強みと産業基盤を活かしながら技術イノベーションを起こして脱炭素化に貢献する車を追求するとともに、比較的高額な車両価格・維持費や、充電インフラの不足などといった電動車の課題解決に向けた取り組みの実施が肝要といえる。
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