「食品スーパー業界」動向調査|TDB特別企画レポート
2023.10.17
食品スーパー 3割が「赤字」
~値上げラッシュで「特売」「安売り」負担に~
セルフレジ導入などのコスト削減、総菜の充実で粗利確保の動きも目立つ
一方で、客足好調な地場スーパーでは、扉付きの冷凍・冷蔵庫の導入による節電で光熱費を圧縮するほか、セミセルフレジの導入や商品の自動発注などデジタル化による省力化といったコスト削減で粗利の確保を目指すケースが多くみられる。独自性を打ち出しやすい惣菜で粗利を確保し、低価格戦略の原資にするスーパーもあり、単純な価格競争以外の訴求力が必要となっている。
[注]全国のスーパーストア業(GMSを含む)及び食品スーパーを対象に調査・分析を行った
食品スーパー、3割が「赤字」 業績悪化は過去最高 「特売」「値下げ」の負担重く
食品スーパーでは、外食から自炊への回帰など節約志向の高まりでスーパーなどを利用する顧客層の拡大が追い風となっている。また、帝国データバンクが今年7月に「価格転嫁の動向」について調査した結果、食品スーパーの4割超が食品などの仕入れ値上昇に対して「50%以上」の価格転嫁ができていると回答した。価格転嫁率の平均も47.0%と全業種平均(43.6%)に比べて相対的に高いほか、2022年度の売上高では4社に1社が前年度から増収を確保していた。
一方で、電気・ガス代など水道光熱費、人手不足や最低賃金の上昇によるパート・アルバイトの人件費など「インフラ」コストの増加分は、顧客の理解を得られにくいことから価格転嫁していない食品スーパーも多く、収益を押し下げる要因となっている。また、ディスカウントストアやドラッグストアなど他業態の進出、大手スーパー・量販店を中心とした割安なPB商品の集客力に対抗するため、「特売」など値下げ戦略を取らざるをえなかった地場食品スーパーもあり、値上げによる増収効果を十分に享受できず、利益面で大きく悪化したケースが目立った。
[注1]食品スーパー(各種商品小売)及びスーパーマーケット(GMS)
[注2]各年度の利益が判明している企業数を集計
地方を中心に業績悪化が目立つ 「赤字」割合、最高は鳥取県の71.4%
[注]価格転嫁に関する企業の意識調査(2023年7月)のうち、食品スーパー(各種商品小売)及びスーパーマーケット(GMS)31社が対象/span>
問い合わせ
当レポートの著作権は株式会社帝国データバンクに帰属します。
当レポートはプレスリリース用資料として作成しております。著作権法の範囲内でご利用いただき、私的利用を超えた複製および転載を固く禁じます。