賃上げ率は平均4.16%!?2024年度の賃金動向はどうなる~景気のミカタ~
2024.02.22
今回の景気のミカタは、2024年の重要な論点である賃上げの見通しを捉えながら、国内景気の回復を下支えする可能性について焦点をあてています。
2024年の最大の焦点、賃上げは企業の59.7%が実施見込み
また、日本銀行が2013年から続けている異次元の金融緩和政策を転換するかどうか、その判断の最も重要な要素が持続的な賃上げであり、物価とあわせた好循環を実現させることなどが必要とも述べてきました[2]。
こうしたなか、2月21日に帝国データバンクが発表した調査[3]によると、賃金改善を実施する企業の割合は前年より3.2ポイント増加して59.7%となり、2006年の調査開始以降で最高を更新していたのです(図表1)。なお、ここでいう賃金改善とは、ベースアップや賞与(一時金)の増加によって賃金が改善(上昇)することで、定期昇給は賃金改善に含まれません。
賃金改善の具体的な内容としては、「ベースアップ」が53.6%(前年比4.5ポイント増)、「賞与(一時金)」が27.7%(同0.6ポイント増)となっています。「ベースアップ」は過去最高だった前年の49.1%を上回り、3年連続で調査開始以降の最高を更新するなど、初めて半数を上回ることとなりました。
賃上げ率は平均4.16%、景気回復を下支えするプラス材料
ここで、定期昇給とは、会社が決めたタイミングで定期的に賃金を上げる制度を指しています。一般的に賃金表に沿って年齢、社歴、仕事の成果など各社の規定に応じて昇給が行われます(例:社歴が1年増えると年齢給が1万円アップ)。ただし、中小・零細企業では賃金表を持たないケースも多く、その場合は定期昇給やベースアップなどの区別なく、賃金が決められることになります。
同調査によると、これら定期昇給のほか、役員報酬・賞与や従業員給与・賞与、各種手当てなどの福利厚生費を含む2024年度の総人件費は、2023年度から平均4.32%増加すると見込まれています(図表2)。そのうち、従業員の給与は平均4.16%の賃上げになると試算され、従業員の賞与は平均4.04%、さらに福利厚生費も平均4.06%それぞれ増加すると推計しています。
帝国データバンクの試算では、連合が要求していた「5%以上」には届かないものの、4%を超える高い賃上げ率になる可能性が示唆されます。それでも近年にない高い伸び率であり、日本の景気を個人消費が下支えするプラス材料と捉えることができるのではないでしょうか。
[1]「2024年の景気、賃上げの継続が最大のポイントに~景気のミカタ~」(TDBカレッジ、2023年12月22日公開)
[2] 「『金利のある世界』へ意識のスイッチを切り替えるとき~景気のミカタ~」(TDBカレッジ、2024年1月26日公開)
[3] 帝国データバンク「2024年度の賃金動向に関する企業の意識調査」(2024年2月21日発表)
(情報統括部 情報統括課 主席研究員 窪田剛士)
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