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  • この1年間で景気が大きく上向いてきた業種を探そう!~景気のミカタ~

2024.06.21

1年前より景気が最も上向いてきた業種はどこ!?

今回の景気のミカタは、日本全体の景気に停滞感が漂うなかで、どのような業種で景況感が高まっているのかということについて焦点をあてています。

好材料と悪材料が交錯するなか、景気DIが2カ月連続で後退

図表1
帝国データバンクが実施した景気動向調査によると、2024年5月の国内景気は2カ月連続で悪化しました。特に、実質賃金の減少が25カ月連続で続き、個人消費DIが大幅に下落しました(図表1)。さらに国内旅行を含む観光産業が低調となり、主要観光地を抱える地域が落ち込む一因となっています。また、原材料価格の高止まりや人件費の高騰に加えて、2024年問題への対応にともなうコスト負担の増加、不十分な価格転嫁なども下押し材料となっていました。

一方で、自動車の生産再開や活発なインバウンド消費はプラス材料となりました。さらに分譲マンションの建設需要や半導体関連工場の進出、ホテル関連の設備投資も好材料とされています。

こうした悪材料と好材料が交錯するなか、景気DIという国内企業の景況を総合的に示す指標は、前月から0.6ポイント減の43.5となり、2カ月連続で後退することとなりました。

今後は、個人消費の動向には賃上げや定額減税など家計の所得環境の改善が重要で、実質賃金の下落がプラス転換することがカギになるとみられます。また、自動車の挽回生産やインバウンド需要の増加、シリコンサイクルの回復なども好材料となるでしょう。他方、海外経済の下振れリスクのほか、日本銀行の追加利上げや人手不足、電力など各種補助金の終了、裾野の広い自動車業界の不正問題による影響も注目されます。

国内景気は、2023年の半ば以降、じわじわと停滞感が広がりつつ、一進一退で推移すると見込まれています。しかしながら、このような状況のなかでも、景況感が大きく上向いている業種があります。

設備稼働率向上と設備投資計画が経済活動に活気をもたらす

図表2
「ビルメンテナンス業」は、1年前と比べて景況感が最も高まりました(図表2)。旅館・ホテルの稼働率が上昇し、インバウンド需要も活発化しています。そのため、商業ビルなどからの受注・問い合わせも増えています。埼玉県の企業経営者からは「人の動きがあり、インバウンドも好調」という声があり、円安の影響も良い方向であると指摘されています。

次に景況感が高まった業種は、「開閉装置・配電盤・電力制御装置製造業」です。特に、開閉装置や遮断器、電気制御装置、避雷装置の製造が主な事業内容です。景気DIは1年前から5.1ポイントも上昇し、景気の良い・悪いの判断基準である50を上回りました。制御盤や配電盤などを使用する工場や病院、施設などの需要が増えており、「建築物件が多く、引き合いも多い」といった声も聞かれます。ただし、原材料の高騰には懸念があり、好調ななかでもリスク管理が重要となっています。

その他、1年前に比べて「野菜卸売業」が4.4ポイント増加し、「防水工事業」が4.0ポイント増加、「一般管工事業」が2.6ポイント増加と続いています。

製造業や運輸・倉庫業における設備稼働率が向上しているなか、2024年度に設備投資を計画・検討している企業は58.7%にのぼります(帝国データバンク「2024年度の設備投資に関する企業の意識調査」2024年5月23日発表)。

経済活動が低調に見えるなかでも、生産の拡大に備えた工場建設やマンション建設など、注文をこなしきれないほどの仕事を抱えている業種も多くあります。企業業績の改善とともに、日本経済の成長には、好調な業種、産業、企業を見つけて伸ばしていくことが不可欠と言えるでしょう。

(情報統括部 情報統括課 主席研究員 窪田剛士)

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