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  • 小売業界最前線~モノ(物販)からコト(体験型)消費へ~

2013.10.30

 小売業界最前線の第2回目は、デベロッパーの動向について触れてみる。
 日本のSC(ショッピングセンター)の数は3,100を超えた程度で、米国の10%にも満たない。法規制の緩和や景気上昇の期待もあり、今後はさらに大型SCの開発が進んでいくものとみられる。

SC第2次出店ラッシュへ

 ラゾーナ川崎等の大型SCを開発した三井不動産は、今後数年で6つの大型モールの開設を計画しており、第二次出店ラッシュを向かえる。
 また、イオンモールも来年から毎年10店舗程度の大型モールを計画しており、すでにリーシング作業に入っている。イオンモールは、130店を超える大型SCを展開し、年間売上200~300億円の店舗を中心とし、中には名古屋のMOZO(モゾ)のように500億円を超える店舗もいくつかある。
 今年の12月にオープンする千葉幕張の店舗は、これまでの常識を超えた大型店舗となり、期待が持たれる。また、イトーヨーカ堂が来秋オープンする武蔵小杉の店舗は、これまでにないタイプの商業施設を目指しており、30~40代の所得水準の高い層に向けた新しい取組みが注目を集めている。

 いずれの店舗も、モノ(物販)からコト(体験型)消費の比重が高くなっている。良い製品を作ることに専念し、お客さまを満足させていた時代から、モノ(物販)を使ってどのようなコト(体験)ができるかを重視する時代へ変わってきている。消費者の意識の変化を捉え、行動や思考などのソフト面を重視した店舗作りが成功の鍵となる。

デベロッパーの変化に合わせ、業態転換した事例

 これまで支援した企業の中には、SCのフードコートの常識を覆し、業態転換を成功させた事例がある。
 一般的に、回転すし店はロードサイドでの出店が多く、新規出店投資が1億円に迫るケースも珍しくない。競争激化により、望ましい投資効率が得られず、新業態での出店を模索している企業も多い。その解決策として、SCの要望に合わせた店作りで、新たな活路を見出した企業がある。
 SCは、テナントに対し徹底的にCS(顧客満足)を求める。すし店は職人気質の従業員が多いが、新たな視点から接客の仕方を工夫し、メニューの見直し等も行うことで、店舗運営のノウハウを蓄積しSCフードコートが求めるレベルに対応した。SCテナントの場合、初期投資がロードサイド店の半分程度で済むことから、投資効率の良い新業態開発につながった。
 また他社の事例では、立地場所に合わせてデベロッパーの意向を汲み取り、商材・コンセプトを多様化させ、新業態店舗を展開し、安定した経営基盤につなげた。この企業は、エスニックな商材を得意としていたが、海沿いの大型SCではハワイアンの店舗を、また商圏に合わせ和雑貨やパワーストーンなどの店舗を出店し成功した。

 いずれも、市場の変化・消費者意識の変化に柔軟に対応したことで、成長を続けている。

株式会社エムジェイワイコンサルタント
代表取締役 大和 幹夫

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