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2013.11.25

 店頭に来年の手帳やカレンダーが並ぶこの時期、2013年の「新語・流行語大賞」候補として50語が発表されました。
「じぇじぇじぇ」「倍返し」「お・も・て・な・し」「アベノミクス」など有力候補が相次いで登場した2013年。50語の顔ぶれを見ただけでも、1年間の変化の激しさを実感します。

急増の背景には

 さて、変化の大きさという点では、11月15日に経済産業省より公表された
平成25年上期(1月~6月期)工場立地動向調査結果(速報)」に注目が集まりました。

 同調査によると、上期の全国の工場立地件数は782件(前年同期比67.8%増)、工場立地面積は2,662ha(同273.6%増)となり、件数、立地面積ともに前年同期を大きく上回る結果となっています。
 ただし、この結果を単純に「製造業の国内回帰」「設備投資の回復」と受け取るわけにはいきません。調査結果でも言及されていますが、大幅増の要因は、太陽光発電を目的とした電気業の案件増加です。全体のうち電気業が占める割合は、工場立地件数で54.9%(429件)、立地面積では84.0%(2,236ha)と非常に大きく、今年のメガソーラーブームが統計上でも如実に現れた形です。

 各地で相次いで誕生しているメガソーラーですが、今後は再生可能エネルギーの普及にともない高コストの発電増による利用者負担増を抑制するため、太陽光発電の買い取り価格の引き下げも予測されており、投資動向が大きく変動する可能性は否定できません。

 では、電気業を除いた状況は、どうでしょうか。
 同時期の電気業を除いた工場立地件数は353件(前年同期比18.7%減)、工場立地面積は426ha(同29.7%減)と、いずれも減少しています。依然として工場誘致をめぐる競争は厳しい状態が続いているといえるでしょう。

自治体としての強み、弱みは?

 自治体担当者の関心の高い立地地点選定理由について、同調査での結果(電気業を除く、複数回答あり)をみると、“最も重視”および“重視”の合計件数上位5件は以下の通りでした。

(1)本社・他の自社工場への近接性(合計:117件)
(2)工業団地である(合計:73件)
(3)地価(合計:69件)
(4)国・地方自治体の助成(合計:60件)
(5)関連企業への近接性(合計:57件)

(1)は、帝国データバンク(TDB)が今年5~6月に実施した「拠点整備に関する投資意向調査」において、「工場」の立地先を選定するにあたって重視する条件のトップとなった“既存自社施設の立地状況”と奇しくも一致する結果となりました。

 TDBの調査結果では、工場以外に「本社」「支店・営業所」「物流・保管施設」を加えた全体で重視する条件のトップは“交通利便性”となっています。
 企業が望む立地の条件には交通利便性、自治体の助成(補助金)など多岐にわたりますが、本社は交通利便性、研究部門は人知の集約・集積が可能な環境など、施設によって立地ニーズは異なります。

 企業はいま、拠点の立地で何を重視しているのか。
 それに対して、自らの自治体ではどこがアピールポイントになるのか。
 今後、自治体間の誘致競争の中では、交通利便性や自治体の助成(補助金)だけではなく、人材の雇用・育成といった人材面、大学との産官学連携などのほか、災害などの緊急時に業務を継続する「事業継続計画」(BCP)に基づいた視点など、よりきめこまやかなアピールが必要となってくるでしょう。
 自治体として強い点、弱い点を改めて洗い出し、ポイントを絞った誘致政策を展開することが求められてきます。

次年度に向けたアクションを

 千葉県は今年11月には「企業立地の促進に関する基本方針」の変更案、および「今後3カ年の誘致推進プラン」のアクションプラン案を作成するなど、状況変化に応じた課題解決に乗り出しています。

 新聞・雑誌での工業団地PRや、DM展開、職員による訪問など、各自治体ではそれぞれ継続的に実施されている手法があり、前年までの手法を大きく変更することは勇気が必要かもしれません。一方で誘致手法のマンネリ化に悩む声も伝わってきます。
 新しい成果を得るには新しいアクションをおこしてみることが必要ではないでしょうか。

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