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  • 小売業界最前線~ネット通販の台頭:見えない敵と、どう戦うか~

2013.11.27

 今回は、小売業界を激変させているネット通販の動向について、述べてみる。2013年9月に発表された経済産業省の統計では、国内のBtoC-EC市場規模は9.5兆円で、年々増加傾向にあり、今後更なる進展が予想される。
 そんな中、実店舗による販売を得意としてきた企業は、ソーシャルメディアを活用した販売促進を模索しつつ、実店舗の役割について見直しを行っている。

利用シーンに合わせた店作り

 ネット通販企業では、仕入れに注力し、価格・品揃えで勝負するサイトが多い。
 一方、店舗販売を中心 に行っている企業は、「モノ作り」へと原点回帰し利用シーンに合わせたコンセプトの練り直し、世界観を重視した製品作りへ商品開発に深く関わる企業が、顧客からの支持を集めている。
 第2回のコラムでも述べた「モノ(物販)からコト(体験型)」消費を意識した販売の実践である。

 利用シーンに合わせた店作りという店では、家電の「ビックカメラ」とカジュアル衣料の 「ユニクロ」のコラボレーション店舗「ビックロ」があげられる。
 暖房機器の横にユニクロのフリースを着たマネキンを置き、ヘッドホンなどの電気製品を持たせるといった仕掛けは、商品の機能だけでなく、快適に過ごすための生活提案を実店舗という空間を使い、展開している。
 特に新宿という、若い世代も多くいるエリアでは、今までの商品機能性だけを押し並べた家電売り場では、ネット通販企業のアマゾンや価格ドットコムなどに勝ることは難しいであろう。
 家電量販店トップのヤマダ電機は、2013年9月中間連結決算の営業損益では、02年の連結決算移行後、初の最終赤字となった。
 要因として、消費者のモノ(物販)に対する購買形態がリアル店舗のショールーミング化になっている事もひとつである。これは小売店で商品の実物の印象・感触などを確かめて、その小売店では買わずに、スマートフォンなどを使ってネット通販に買い注文を入れる購買行動である。消費者にとって小売店は、商品を見るショールームに過ぎず、小売店では売上が生じないのである。

新しい業態開発を成功させる為には

 アメリカでも、時代を席巻した世界最大の家電量販店「ベストバイ」は、アマゾンの販売に押され、業績の低迷を余儀なくされている。

 店舗を持つ企業は、インターネット時代に、ネット通販と言う見えない敵との戦い方や、新しい購買形態「ショールーミング化」の対策について、改めて自社の店舗戦略の見直しを図るとともに、前述の「モノ作り」の視点でだけでなく、お客様への接客、店舗のコンセプト、立地なども含めた、新しい業態開発が必要となってくるだろう。

 新しい業態開発を成功させる為には、まず消費者が時代の変化に適合した新しい店舗を求めていることを理解しなければならない。いわば小手先の業態開発では生活者の心を動かすものにならない。企業側の発想ではなく生活者のニーズに合わせた新しい店舗のスタイルが求められている。


株式会社エムジェイワイコンサルタント
代表取締役 大和 幹夫

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