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  • 階層別教育研修を考える(管理職研修編)

2014.07.23

 「シリーズ:階層別教育研修を考える」、第五回からは数回にわたって「管理職研修」について考えたいと思います。

 今回は「マネジメント」とは何か?についてです。

 「マネジメント」とは、一体何でしょうか?
 「マネジメントとは管理をすることだ!」と仰る人もいますが、これは単に「言い換え」をしているに過ぎません。
 「人の管理、仕事の管理だ」というのも、細分化をしているに過ぎず、マネジメントの本質を捉えているとは言えないでしょう。
 もし、御社で管理職研修を実施されているのなら、ぜひ講師に「マネジメントって何ですか?」と聞いてみてください。その講師なりの定義があると思います。
ビジネスとマネジメント
 当たり前のことですが、企業は営利組織です。営利活動(ビジネス活動)とは「安く仕入れて⇒良いモノ・サービスを創り⇒高く売る」という活動です。
 売価から原価を差し引いたものが、営利(付加価値)となります。
 商店街の八百屋さんから世界的な自動車メーカーまで、営利組織は全て、この活動を行っています。一社たりとも例外は存在しません。

 営利組織はもうひとつ、営利活動を「し続ける」ための活動があります。
 八百屋さんの店主が「奥さん!今日は良い大根入っているよ!」と店先で威勢よくプレゼンをしても、この大根が「いつ、どこで、幾らで仕入れたのか?」が明確でなければ、売価をつけることが出来ません。
 一本や二本なら良いですが、百本、二百本を売るとなれば、ちゃんと「仕入帳簿をつける」必要があります。
 そうしなければ、買い手から「ちょっと安くしてよ」という交渉を持ちかけられても、応じることが出来ません。
 この「帳簿をつける」という活動が、いわゆる「マネジメント」と呼ばれるものです。

 八百屋さんは、大根の仕入日や仕入値をきちんと「管理」することで、安定して売り続ける、時には追加サービスをして顧客満足を高める、悪くなった大根を捨てる、ということが出来るようになります。
 仕入帳簿をつけている時間は、一円の付加価値も生み出されていません。しかし、非常に重要な活動です。
 つまり、マネジメントとは「付加価値を生みだす営利活動(ビジネス活動)を安定させる、強化する、守るための活動」なのです。

 これを営業という仕事に、当てはめてみましょう。お客様にアポイントの電話をする、ニーズに合わせて提案書を書く、などは「営利活動」です。
 取得したアポイント日時をスケジューラーに入力する、作成した提案書を上司に確認してもらう、などが「管理活動」になります。
 スケジューラーに入力している時間、提案書を上司に確認してもらっている時間は、一円の付加価値も生まれていません。
 しかし営利活動を安定させたり、強化をするためには、大変重要なことです。
 「当たり前」とお感じになられた方もいらっしゃると思います。確かに当たり前のことなのです。

 しかしこの考え方を進めると、次のような疑問が出てくるのではないでしょうか?
 『マネジメントを強める(管理項目を増やす、確認をより厳しくする等)ほど、付加価値を生みだす営利活動が、阻害されてしまうのではないか?』

 実はその通りなのです。マネジメントにおいて重要なことは、量ではなく質です。
 営利活動を強化、安定、保守するために「必要なこと」を管理すれば良く、マネジメント自体は、出来るだけ簡素で、短時間で終わることが望ましいのです。

 管理職研修の御要望を頂く際に、大抵の場合、「中間管理職のマネジメント力を強化したい」というセリフをお聞きします。
 テーマのご要望として、具体的に「部下育成」「人事考課」などの「管理職の業務」が挙げられます。
 しかし最も大切なことは、何の為に部下育成をするのか、何の為に人事考課を行うのか、マネジメントとはそもそも何なのか、という原点を確認することです。
そうしなければ「部下育成=部下とのコミュニケーション」と考え、営利活動の時間を削ってまで、部下と対話をするなど、本末転倒なことが起こってしまいます。

 「営利活動の為にマネジメントが存在する」ということを忘れてはいけません。

 企業の本分はあくまでも「営利活動」と定め、営利活動を強化、安定、保守するためのマネジメント研修が必要だと感じます。
原点に立ち返ることで、自身の役割を再認識し、日々の具体的な行動に結び付くようにプログラムすることが大切だと感じます。

 次回は「管理職研修のテーマ」について、考えたいと思います。


株式会社グローネス・コンサルティング
代表取締役 為広雅夫

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