本店・URL・業種コード【サマリー】~報告書の読み解き方-24~
2014.12.12
「さて、現況と見通しのページまで行ったので、最初のサマリーのページに戻って今日は終わりにしましょう。現況と見通しの最後の結論とサマリーの評点は密接な関係があるので、評点の話までしておきましょうか」
横田が報告書見本の最初のページに戻りながら言った。ブラインドから差し込む西日が強くなっている。
「サマリーは、基本的には本文からデータを引用しているんですよね?」
「えーっと、上から、商号、英文商号、URL、電話番号、業種コード、評点・・・以外は全部そうですね」
「実際の本店と別に登記面本店をここに表示しているのは、やはり登記主義だから、ということですか」
「そうです。法的根拠となる登記の情報はやはり重要です。実質的な本店というのはあやふやなことがあるんですよ。社長がひとりで事業をしていて、とくに事務所を持っていないケースもあります。代表者についても、商業登記が更新されていなければ、いくら交代したと言われても、代表者が死亡していても、報告書では基本的に登記どおりの代表者を掲載して、実際の状況は備考欄に付記する形をとっています」
「実質的な本店が特定しづらいこともありますよね」と青山が顔に興味を浮かべて聞く。
「実質的な本店は、その会社が公式に本店と称している場所です。極論すれば、その会社の社長が『ここが本店だ』と言ったところになりますが、本店機能を備えているかどうかの確認はします。ちなみに、調査では取材窓口の人が本店ではなく他県の工場にいる場合があります。例えば、本店は東京だけど、取材に応じる社長はいつも千葉の工場にいる、といった具合ですね。私たちは実質的な本店での取材を原則としていますが、こういう場合は例外的に千葉の工場で社長に取材して、報告書をまとめることがあります。このように実質の本店と調査地が異なる場合は、サマリーの備考欄に『帝国データバンク○○支店調査分』と表示してあります。あくまで例外ですけどね。調査は、実質的な本店を特定するところから始まるんです」
「そうです。調査員は調査に行く前の下調べとしてチェックしていますし、大事な情報源です。グループ内や少数の特定客を相手に商売をしている会社を除けば、ホームページを作っている会社は増えていますね」
「ただ、ホームページって、与信判断として見ると、情報が足りないですよね」
「そうですね。いろんなホームページがありますけど、ホームページは基本的に会社案内や企業広告と同じです。自分の会社の情報を自由に載せられる。掲載内容の事実性を誰かがチェックするわけでもありませんし。更新しなくて、古くなっているものも多いですね」
「ホームページを鵜呑みにしてはいけない、ということですね」と青山は腕を組んだ。
「ええ。取引先が掲載されていても、それは取引額順ではなく有名な順だったりします。ただ、その会社の経営スタンスや、力を入れている商材がわかりますし、参考になることもあります。情報公開の意識が高い会社は財務情報を掲載していることもありますし、チェックしないわけにはいきません」
「業種コードは・・・」と青山がメモを見ながら言った。「私たちにはあまり関係がないような気がします・・・」
「そうですね。調査員にとっては、評点を業種別格付テーブルに基づいて算出するので重要です。決算書を入手したときに添付する財務諸表分析表の基準比率も、基本的にこの業種コードに紐付いています。企業データベースの検索キーとしても利用されているので、分類ミスがないように気をつけています」
実質的な本店
URLは必ずチェック
なお、楽天市場などの通販ポータルサイトに出店している場合、それはホームページとは違うので、報告書のURL欄にも原則として載せませんが、通販サイトにも会社概要や店舗責任者が必ず掲載されているので、有益な情報を拾えることがあります。
業種コードはTDBオリジナル
また、業種コードは横田が説明したように評点格付テーブルや財務諸表の基準比率導出に活用されているほか、評点をしない業種(金融機関や公務など)の管理にも用いられています。
企業信用調査
https://www.tdb.co.jp/lineup/research/index.html
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