TDBカレッジ・セミナー講師による「与信管理教室」-2
2015.03.12
安全な経営を行うには、取引先が支払い不能となる信用リスクを最小限にとどめるために、取引先の経営状況を常に把握し、与信管理を徹底する必要があります。
この与信を管理するうえで、絶対に避けなければならないことについてお伝えしたいと思います。
「調査員時代の体験」
「長年の取引実績がある先で、これまでに回収の遅れもないので、特に心配する必要がないと思っていた得意先が突然に倒産してしまい、思わぬ焦げ付きが発生した・・・・」
このような話をお聞きするたびに、「一度調べた取引先の、その後の変化を見落とさない体制は整っていましたか?」と質問させていただいたものです。
すると、「いったん取引が始まってしまえば、特に問題が生じない限りは、安心だと思って取引を継続していた」と答える方が大半でした。
「変化」する信用状態
しかし、私の調査員時代の体験では、実際には多くの企業が取引先の変化を見逃しているという事実でした。
その結果、“思わぬ焦げ付き”あるいは“ノーマーク先の焦げ付き”が発生し、時には多額の不良債権によって自社の資金繰りに大きな影響を受けたというケースも目にしてきました。
「変化」に晒されるということ
そのほか、扱う商品・サービスの市場におけるライフサイクルや、経営者の交代、得意先企業の動向といった、さまざまな環境の変化が原因となって業績に大きな影響を受けた企業を、調査員時代には数多く目にしてきました。
個々の企業が受ける影響としては、増収・増益要因など経営にプラスとなるケースもあれば、赤字決算を余儀なくされるような経営にとってマイナスとなるケースもあります。
私の感覚としては、マイナスの影響を受けたという声のほうが多かったような気がします。
ポイントは「変化」を見逃さない
この考えを取引先との関係に当てはめると、“変化することが常態”として判断すべきものを、“取引先が変化することはない”と考えてしまうことで、与信判断を誤らせる危険性を孕んでいるといえます。
与信管理に「希望的な観測」は禁物です。ですから、継続的に取引先の変動情報を収集できる体制を整える必要があります。そして収集できた情報を評価し、場合によっては緊急時の対応に備えなければなりません。
与信管理のポイントは、“「変化」を見逃さない体制作りにある”と言い換えることもできます。
“与信管理するうえで、絶対に避けなければならないこと~【その2】”は、
『一度調べた取引先の、その後の変化を見逃してしまう』ことを避けなければならないということです。
継続的に取引先の情報を収集する動きは、与信管理の基本行動です。常に取引先の信用リスク変化をウォッチできる体制作りの必要性をご理解ください。
※TDBでは、常に取引先の信用リスク変化をウォッチできる商品・サービスをご提供しています。取引先を継続的に管理するために、TDBが発信する情報を有効にご活用ください。商品・サービスへのお問い合わせは、TDBカレッジの「お問い合わせ」をご利用ください。こちらからご連絡させていただきます。
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東京支社業務部付参与(組織開発チーム) 山本 正治