営業力強化を考える(2.B2BとB2Cの違い)
2015.07.24
第2回は、B2BとB2Cの違いについて考察したいと思います。
営業力を考える上では、自分が従事している営業職が、以下のどちかに属しているのかを知る必要があります。
B2B=Business to Business
B2C=Business to Customer
言葉としては聞いたことがある人も多いと思いますが、
この2つの違いをご存知でしょうか?
1.B2Cと思っていたが
ランチ時に、サラリーマンが近場のラーメン店で味噌ラーメンを食べる、などです。
しかし、以下のケースではどうなりますか?
【ケース】
帝国物産では、大型ショッピングモール建設予定について、モールへの出展を検討しているアパレル会社や飲食店のオーナー、近隣住民などを招いて説明会を行った。
予定では、ちょうど昼時に説明会が終了する。
寒空の中で説明会に参加をした方々に、帝国物産は何らかの「おもてなし」をしたかった。
そこで、有名なラーメン屋に出張してもらい、会場の外に「ラーメン店」を設置し、参加者に無料で振る舞った。
この場合、出張をした「有名なラーメン屋」はB2Cでしょうか?それともB2Bでしょうか?
実は、B2B/B2Cは、業態や販売品目で区別できるものではありません。
B2BとB2Cは、購入者(≠消費者)の”目的”によって区別されます。
2.B2BとB2Cの違い
B2C:購入者が、自己満足を目的として、財・サービスを購入する場合
家族でレストランを使用する場合は、B2Cです。
取引先の接待でレストランを使用する場合は、B2Bです。
B2B/B2Cは、販売者側ではなく、購入者が決めるのです。
3.B2B/B2Cどちらにあたる?
あなたが取り扱っている財・サービスは、どのような時にB2B/B2Cになりますか?
【鋼材メーカーA社に、鋼材1本を売って欲しい、という問い合わせが来た】
B2B:鋼材を使って、メーカーに納品する自動車部品の試作品を作りたい
B2C:鋼材を使って、我が家のリフォームで、車庫を改造したい
【紳士服の販売店B社に、スーツ5着を売って欲しい、という問い合わせが来た】
B2B:我が社に新人5名が入ったので、彼らにスーツをプレゼントし、モチベーションを高めてもらいたい
B2C:ダイエットをして20キロ痩せた。今のスーツだと格好が悪いので、新しく新調したい
少しこじつけかもしれませんが、極論をすればどんな業種でも、B2B/B2Cになり得るのです。
B2B/B2Cに”なりやすい”業種として、あなたの業種を捉えておいて下さい。
4.購入者の意思決定の違い
B2Bは、ビジネスを目的として購入します。そのため、B2B取引においては「ビジネスで役に立つか」が購入基準となります。B2Bの購入者は、商材のどの部分が、どのようにビジネスに役立つのかを知りたがります。
事実を把握し、論理で判断をし、購入を決定します。
B2Cは、自己満足を目的として購入します。そのため、B2C取引においては「自分が満足するか」が購入基準となります。つまりは、購入者の「価値観」が大きな影響力を持つのです。
例えば満足の基準が「ブランド品を持つこと」であれば、ブランド力が無ければ、どれだけ良い商品であろうとも購入者を満足させられません。
無論、B2Bにおいてもブランド力が影響することがあります。しかしその場合は「品質上の信頼」がビジネスに必要だからであり、ブランドそのものが目的なわけではありません。
経営者の方にご理解を頂きたい点として、そもそも売るために必要なことは、「品質的・価格的競争力」であり、「競合にはないサービス」であり、「企業としての信頼(≠規模)」です。
経営者は常に、これを追求し、その努力の上で、担当営業に営業力(交渉力)を求めるべきです。
もちろん同様に、担当営業パーソンも、差別化が難しい現代社会において、会社に貢献するためには自分自身が顧客の最終判断を決定させるキーパーソンであるという意識を持って、仕事に取り組むべきでしょう。
担当営業パーソンの交渉(ニーズの聴き方、商材の訴求力、判断の仕方、立ち振る舞い等)次第で、自社の優位性は大きくも小さくもなります。
ここが営業の仕事の面白いところですね。
次回は、B2B営業の営業フローについて考えます。営業フローを理解することで、「狙って決める」ことが出来るようになります。
株式会社グローネス・コンサルティング 代表取締役 為広雅夫