海外ビジネスを失敗させないためのヒント第3回(全6回)
2018.12.20
前回は欧米での企業情報に関するお話を紹介しました。第3回目は中国を取り上げます。中国は製造拠点として、また販売先としても魅力のある市場であり、法規制や商習慣の違いによるトラブルなどリスクはあるものの依然として多くの日本企業のビジネス先として選ばれています。今回は中国の企業情報事情についてご紹介します。
中国の企業情報
なお、近年中国では不正防止に向けた取り組みが見られるようで、例えば日本の税務官に該当する税務担当の公務員は、担当業務の長期化による癒着や不正を防ぐために、定期的な配置転換が実施されているようです。
中国の調査環境
一般的な調査会社では中国企業の決算要旨は入手が可能な傾向にありますが、調査会社によっては決算情報が取得できないケースがあるため、現在ご利用中の調査会社で決算数値が入らないケースが多い場合は、他の調査会社を検討してみることも有効です。
中国では日本企業ほどではないにせよ、企業調査に関するインタビューには応じる傾向にあります。調査対象だけでなく取引先へもインタビューを実施し、支払状況や関係性などの情報が確認できるケースも多いです。
中国企業の取引先チェック
また、営業許可証をはじめとした各種ライセンスの確認はとても大切です。特に貿易をしている企業に関しては、貿易ライセンスの有無のみならず、そのライセンスの有効性まで確認したほうがよいでしょう。現在、許可は持っていなくても、企業によってはライセンスを申請中というケースもあるためです。
ほかに、中国では訴訟記録の確認も可能です。訴訟原因が労働争議、支払遅延、契約破棄の場合は留意が必要です。
近年、企業情報インフラが整ってきており、企業登録情報が確認できるインターネットサイトもあります。
国家企业信用信息公示系统(URL http://www.gsxt.gov.cn)では、企業登録の確認、法令違反の有無を無料で確認することができます。取引先管理の第一歩として、まずは取引先企業を特定し、その実在性を確認することをお勧めします。
次回は海外でよくあるヒヤリハット事例についてご紹介します。
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バックナンバー
第2回 日本と欧米での法律・商習慣の違い
第3回 “いま”の中国の企業情報事情<表示中のコラム>
第4回 海外でのヒヤリハット事例
第5回 日本からできる海外取引先管理
第6回 マスタ整備の重要性