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  • 2019年、日本経済に影響を与える重要イベント~景気のミカタ~

2019.01.15

2018年の景気DIは、1月に過去最高を記録して始まりましたが、その後は拡大基調が一転、足踏み状態から弱含みへと後退してきました(図表1)。

2018年の国内景気は過去最高から弱含みへ

図表1 帝国データバンク「TDB景気動向調査」 全国の景気DI
平成30年7月豪雨や8月として過去最多の上陸となった台風、大阪や北海道で発生した地震など、相次ぐ自然災害が各地に甚大な被害を及ぼしたほか、人手不足の深刻化や世界的な保護主義の高まりが企業マインドにも大きな影響を与えることとなりました。
2018年の国内景気は、災害復旧・復興工事や住宅着工などの建設需要が堅調に推移し、冬季賞与の増加、年末需要の高まりなどがプラス材料となったものの、総じて厳しさの増す一年だったと言えます。

2019年は重要イベントが目白押し

図表2 2019年の主なイベント
2019年は日本経済に大きな影響を与えうる出来事が目白押しです(図表2)。
2018年12月30日に発効したTPP11を皮切りに、日米TAG(物品貿易協定)の開始や日EU・EPA(経済連携協定)の発効予定といった通商関係に加えて、3月には英国のEU離脱も控えます。さらに、日本で開催されるサミットとしては過去最大規模となるG20(主要20カ国・地域)首脳会合が大阪市で開催されるほか、福岡市や松山市など全国8都市で関係閣僚会合が開かれます。今後、各地からはさまざまな情報発信や知名度向上に向けた動きが活発化することが期待されます。

他方で、今上天皇の退位および新天皇の即位、改元などに向けて、5月1日が「天皇の即位の日」として休日(祝日扱い)となったことで、10日間に及ぶ大型連休が待ち構えています。さらに、働き方改革関連法が順次施行され、年5日の年次有給休暇取得がすべての企業において義務付けられることに加え、大企業では時間外労働の上限規制が導入されます(中小企業は2020年4月1日)。

そして、2019年の景気に最大の影響を及ぼすとみられる、消費税率10%への引き上げおよび軽減税率の導入が10月に予定されています。

激動の2019年、深刻化する人手不足と消費税率引き上げをいかに乗り切るか

図表3 帝国データバンク「2019年の景気見通しに対する企業の意識調査」2018年12月13日発表
こうしたイベントが目白押しとなるなか、景気の先行きについて1年前より慎重な見方を強めている企業が急速に増加しています。帝国データバンクが実施した景気見通しに関する調査によると、2019年の景気が「悪化」する見込む企業(29.4%)が前年から倍増した一方、「回復」すると見込む企業(9.1%)は大幅に減少しました(図表3)。

景気への懸念材料トップは「消費税制」

図表4 2019年景気の懸念材料
同調査によると、景気に悪影響を及ぼす懸念材料として「消費税制」をあげた企業は半数を超える55.3%にのぼっています(3つまでの複数回答、以下同)。改めて消費税率10%への引き上げに対して、多くの企業が懸念していることが浮き彫りとなりました。以下、「人手不足」と「原油・素材価格(上昇)」が続き、労働市場のひっ迫や原材料価格の上昇による悪影響を懸念する企業も多いことがわかりました。米中における関税引き上げなど「貿易摩擦の激化」をあげた企業は14.5%でした(図表4)。
企業からは、好調な受注状況の継続見込みや、人手不足による雇用機会の拡大が消費につながることを期待する声も聞こえます。しかし、消費税率引き上げによる悪影響を懸念する意見や、貿易摩擦など海外動向の行方を指摘する声も多くあがっています。

消費税率引き上げにともなう需要増と反動減が予想されるなか、中国など外需の減速や日米通商交渉の行方も懸念され、景気の先行きへの厳しい見方が一段と強まっています。2019年の景気動向は、人手不足の解消や消費活性化、貿易摩擦の行方がカギを握る一年となるでしょう。

執筆:情報統括部 産業情報分析課 窪田 剛士

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