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  • 海外ビジネスを失敗させないためのヒント第5回(全6回)

2019.01.30

~第5回 日本からできる海外取引先管理~

前回は、海外のヒヤリハット・怪しい企業の動きについてご紹介しました。今回はこれまでにご紹介してきた海外企業の取引先管理について、実際に仕組みを構築された事例を取り上げます。

帝国データバンクがお客さまの海外取引先管理をサポートさせていただいている中で、海外与信管理・モニタリングの仕組みを構築したお客さま(以下A社)の事例です。A社は海外に拠点を持つ商社で、日系企業以外の取引先も多く有するグローバルカンパニーです。

グローバルカンパニーの課題

お客さまは、グローバル化の進展に伴い海外子会社で債権管理を行っていましたが、コーポレートガバナンス強化のため、日本本社からも海外の得意先について管理していく方針を立てていました。上場企業であるため、海外子会社の管理責任を問われることから対策を急ぐ必要もありました。

A社の課題は、大きく以下の3つでした。

● 海外得意先の信用力を測る仕組みを作りたい
● 重点的に管理が必要な企業の対応
● モニタリング体制の構築(信用情報や債権額の積み上がりなどを継続して管理したい)

A社が実現したかったのは、海外現地法人が有する得意先の信用度を確認し、併せて債権額の動きを見ていくことで、回収リスクのある得意先に対して不用意に多額の債権が積みあがっていないか監視する仕組みを作ることでした。
現地化が進めば進むほど、本社からの管理の手綱を強めなければ目が行き届かず、低信用先への過大な販売などの問題が起こる可能性が出てきます。

A社では、課題解決のため2つの情報を活用しました。
全世界約3億件の企業情報を収録するグローバル企業データベースorbis
TDB海外信用調査報告書

海外取引先管理の実現

まずは、海外得意先の信用力の全体感を確認するため、自社取引先情報に信用力を表すスコアを含む外部企業情報を付加しました。具体的には、全世界約3億件の企業情報を収録したグローバル企業データベースorbisを活用して、A社の取引先を検索し企業情報を紐づけました。その際に、取引先の信用力を評価するために使用したのが財務スコアです。

前回までご紹介してきた通り、海外企業の情報は千差万別で、国によって企業の評価や管理方法も異なるため、画一的な信用評価を運用するのは容易ではありません。そのような課題を解決するため、どの国でも共通して使われる決算書の項目、例えば流動比率や利益などの項目を集約して評価している財務スコアであれば、取引先の国が異なっても統一の基準での評価が可能になります。
A社はこのように取引先の情報に財務スコアを付加することで、取引先の信用度の良し悪しを俯瞰することができました。

全体感を見た中で、評価の低い企業については信用調査をかけることで、より信用力にフォーカスした実在性や支払遅延の有無などの情報を確認し、重点管理を実施しました。実務において、最新の企業状態や支払情報などの信用に関する情報を得るには信用調査が有効です。海外取引先管理ではデータベース活用に加えて信用調査を併用することが定石と言えます。

モニタリングの実現

取引先の全体像が見えて、重点的に見ていくべき取引先の対応も実施したことで、一時点での管理は実現しましたが、継続的して取引先の状況をモニタリングしていく仕組み作りが必要でした。
海外企業は倒産など不測の事態に陥る前に、事件・事故や倒産の噂などがネガティブニュースとして出る場合があります。海外企業のモニタリングは、財務情報など計数面のみならずネガティブ情報を追いかけていくことで、対策を事前に打つことができるようになります。A社はグローバル企業データベースorbisを活用して、登録した海外得意先のネガティブニュースや変動・変更情報があれば自動でお知らせを受け取ることができています。
さらに、海外得意先の財務スコアに加えて、月次で自社の債権額を並べて継続的に管理することで、低信用先への債権の積み上がりを監視する取引先のモニタリング体制を構築しました。


A社では、以上の仕組みを構築することで、海外得意先の信用度の全体感をつかみ、重点的な対応が必要な企業を見極め、得意先の変動情報を受け取れる仕組みを作り、月次で継続管理していくことで、日本にいながらも海外の取引先管理・モニタリングを実現できました。

次回、最終回では海外取引先管理の土台となるマスタ整備の重要性と取組事例についてご紹介します。

なお、今回ご紹介したサービスは以下のリンクからご確認いただけます。
グローバル企業データベースorbis
海外信用調査


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   執筆:営業企画部 マーケティング課 岡田 明

※本文は個人見解を含むものであり、会社としての見解を示したものではありません。法律の改正等により記載が事実と異なる可能性がありますこと、予めお含みおきください。

バックナンバー

第1回 拡がるコーポレート・ガバナンスの責任範囲
第2回 日本と欧米での法律・商習慣の違い
第3回 “いま”の中国の企業情報事情
第4回 海外でのヒヤリハット事例
第5回 日本からできる海外取引先管理<表示中のコラム>
第6回 マスタ整備の重要性

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