2019年度の賃金動向はどうなる? ~景気のミカタ~
2019.02.19
労働者と企業による異なる賃金への感じ方
結果として、一人ひとりの労働者は賃金の上昇を実感できずにいる一方で、時間当たり賃金の上昇に直面する企業は人件費の上昇に負担を感じる、という構造が生じていることがうかがえます。
2019年度の従業員給与・賞与、総額で平均2.82%(約4.1兆円)増加と試算
なかでも、深刻な人手不足が続いている『建設』で総人件費が平均3.48%増加すると推計されるほか、「飲食店」(平均4.24%増)や「情報サービス」(同3.93%増)、「人材派遣・紹介」(同3.85%増)などを含む『サービス』(同3.32%増)で3%を超える大幅な増加が見込まれます(図表4)。
2019年の景気は賃金動向がカギを握る
直近の国内景気をみると、1月の景気DIは前月比1.3ポイント減の48.1と2カ月連続で悪化し、後退局面入りの兆しも一部で表れてきています(「TDB景気動向調査」2019年1月18日~31日実施)。
こうしたなかで、企業は人手不足が長期化するなか、労働者の定着や確保を背景として、賃上げを実施する傾向が一段と強まってきました。とりわけ、中小企業で賃上げの必要性に迫られる状況です。
景気回復のカギを握る個人消費について、「賃金上昇により個人消費が伸び、経済の成長につながることを期待する」(一般貨物自動車運送)といった声が聞かれる一方、「可処分所得が増えない以上、個人消費が大きく増えることはない」(ビルメンテナンス)といった意見が多くみられます。
消費税率引き上げや各種社会保険などの国民負担割合が徐々に高まるなかで、実質可処分所得の増大が消費動向のカギを握るといえるでしょう。
執筆:情報統括部 産業情報分析課 窪田 剛士
注2:総人件費は「法人企業統計」(財務省)より帝国データバンク試算
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