“景気”とは何だろうか? ~景気のミカタ~
2019.05.23
4月の国内景気は、最大10日間となる大型連休中の人手確保にともなう人件費や物流費の増加が景気を下押しする要因となりました。加えて、新年度を迎えて公共工事の発注件数が減少するなか、大型連休や統一地方選挙などが悪材料となり工事関連が停滞したほか、さらに原油高を背景とした燃料価格の上昇はコスト負担増をもたらしています。他方で、4月の前半から中頃にかけては連休を控えた前倒し発注による出荷増や、旅行および外食など個人消費を中心とした需要拡大がプラスに働くこととなりました。また、新元号の発表を受けて一部の業種で特需が発生したことも特徴です。
総じて、国内景気は、大型連休などを背景としたコスト増や工事関連の停滞が響き、後退局面入りの兆しが引き続きみられる結果となりました。
“景気”とは何か?
私たちは、こうした指標をもとに、現在の景気状況や今後の景気に対する見通しなどを考えます。しかし、そもそも“景気”とは何でしょうか。
こう問われれば、通常は売買や取引などの経済活動の水準や勢いと答えることが多いのではないでしょうか。ただし、これだけでは「景気とは何か」という問いに対する回答として十分とはいえません。
“景気”は文化的な用語として誕生した言葉
広辞苑では、複数の意味がある場合、もともとの古い意味から順番に記載していくルールとなっています。つまり、元をたどれば“景気”という言葉は経済用語として出てきたものではないのです。
“景気”とは風景画(山水画)など文化的な用語として誕生した言葉です。風景は、景気の強くみなぎった場所のことを指し、この景気とはあたりの景色の精力や力のことをいいます。そのため、風景が良いところには景気がみなぎっている、ということになるのです。
“景気”は経済の活力を表すバロメーター
また“景気”は心理的要因によっても大きく左右され、経済活動が活発化するためには多くの人のマインドが改善していかなければなりません。そして、マインドの改善がまた経済に好循環を生むことになるのです。しかし、人びとの意識は相対的なものであり、たとえ経済活動が高い水準にあったとしても、潜在的にはもっと出来るはずだと考えていれば、マインドは低くなりがちです。
ただし、“景気”は特定の事象を指すものではなく、漠然と世の中に漂う雰囲気ともいえ、捉えどころがないものでもあります。TDB景気動向調査は、この景気に対する企業経営者の意識を捉えることを通じて、経済活動の状況を理解することを企図しています。これによって、より良い日本経済に貢献する一助となれば幸甚です。
執筆:情報統括部 産業情報分析課 窪田 剛士
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