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  • “令和婚”ブーム到来!?華々しい業界の実態は?

2019.06.27

~Yahoo!ニュース掲載~

5月に元号が「令和」へと変わり1カ月あまりが経過した。改元の高揚感や華々しい雰囲気で、さらには大安であったことから5月1日に入籍した人も多かったようだ。ある区役所では、「祝日だが婚姻届は提出できるのか」など事前に多くの問い合わせが寄せられ、当日には特設の写真撮影ブースを設けたとも聞かれた。今月は6月ということでいわゆる“ジューンブライド”。すでに結婚式を挙げた、これから挙げるカップルも多いのではないだろうか。

しかし、近年は少子化による結婚適齢世代の減少や晩婚化、結婚をしない人が増えている実態もある。厚生労働省の人口動態統計によると、年間の婚姻件数は、第2次ベビーブームとなった1972年の109万9984組をピークに増減を繰り返しながら減少傾向で推移している。2018年は59万組(推定値)とピーク時の半数近くとなっている。そうした状況の中、結婚式場を運営している会社の業況はどうなっているのか、帝国データバンクの企業概要データベース「COSMOS2」(147万社収録)から「結婚式場業」を主業とする企業を集計し経営実態を分析してみた。

総収入高増加も国内需要に先行き不安

結婚式場経営業者の売上高推移
調査対象としたのは2015年度から2017年度までの業績が判明した「結婚式場業」を主業とする企業355社。収入高別に見ると、2017年度の総収入高は約5908億1500万円となり、前年度比2.3%増となった。現状、大手企業を中心に積極的な設備投資やプロモーション戦略が積極的に行われている。なかでもホテル事業が訪日外国人の増加によって堅調に推移するなど、結婚式場運営以外の事業への注力が奏功し、横ばいから増収傾向で推移している。

婚姻件数の減少から同業者間の競争は激化するなかで、各企業は衣装や料理、演出などソフト面での差別化が求められている。また、国内需要の先行きを不安視していることから、海外進出の流れも見受けられる。

相次ぐ他業種からの参入

近年は、結婚式を挙げない「ナシ婚」やあまりお金をかけない「ジミ婚」が広まるなど、結婚式のニーズやトレンドが多様化している。低価格な結婚式への需要の高まりは業界への参入障壁を下げる一因にもなっている。公正取引委員会が2017年3月に発表した「ブライダルの取引に関する実態調査報告書」によると、ブライダル業者の76.1%が直近10事業年度において自社の営業地域内に新規参入があったと回答している。そのうち約7割が同業者の事業拡大によるものとなっているが、約2割は他業種からの新規参入となっている。従来型の式場やホテルでの結婚式のほか、低価格での開催や演出などで融通の利きやすいゲストハウスやレストランなどでの挙式が人気となっており、レストラン経営業者などの参入が見られる。また葬儀場やホテル経営業者のように、会場となる不動産などを有している業種からの参入も目立っている。

他事業の拡大に光明を見出す

2017年度の黒字、赤字が判明した企業158社の内訳を見ると、黒字が115社(構成比72.3%)、赤字が43社(同27.2%)となった。赤字企業を見ると、結婚式の減少、小規模化のなかで、利益確保が難しくなっている企業が目立った。負の面の一つとして、ブライダル業者と納入業者などの下請先との取引で下請法上問題となりうる取引も確認されているようだ(公正取引委員会:ブライダルの取引に関する実態調査報告書)。一方で、新たな結婚式場やホテルやレストラン事業の拡大のための設備投資がかさんだため、赤字となっている企業も見受けられた。インバウンド需要を取り込むため、ホテル事業への注力など結婚式場業のみならず、他事業を拡大する動きは活発化しており、結婚式場運営だけで採算を確保することが難しいことがうかがえる。ホテルやレストラン業者などが双方向で参入し合っている状況にあり、ブライダル業者が属する業界の幅は広がってきていると言えよう。
本記事は2019/6/21にYahoo!ニュースに掲載されたものです。

過去のYahoo!ニュースでのリリース記事はこちらからご確認いただけます。
https://news.yahoo.co.jp/media/teikokudb

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