なぜ今?建設業界で労働安全対策に熱 「人手不足に効果」の声も
2019.07.22
「労働安全衛生」への取り組みに今、全国の建設業界が熱視線を送っている。企業における同認証取得支援に携わる関係者は、「労働災害などを防止する“労働安全衛生”対策への取り組みとして、特に建設業でISO認証制度への注目度が再び高まっている」と話す。過去には、品質向上に向けた取り組みとして製造業から注目を浴びたこともあるISO認証。建設業でこうした認証制度に注目が集まる背景には、労働安全衛生に向けた対策への啓蒙が、建設業のみならず工事を発注する自治体などでも意識が高まっていることが挙げられる。
深刻な人手不足、「ISO認証取得」を求職者にアピールする企業も
一方、近年は製品そのものではなく、事故やリスクを根本から発生させない組織の「仕組み作り」=マネジメントシステム規格が広く普及している。環境への貢献を目指すISO14001(環境マネジメントシステム)などが、ISO認証として有名だ。こうした認証の一つとして、従業員などの労働災害リスクを除去、低減するために作られたのが「ISO45001=労働安全衛生マネジメントシステム」だ。
なぜ今、こうした労働安全衛生に対する機運が建設業で高まっているのか。労働災害はあらゆる業種で起こり得るものの、建設業で発生する労働災害件数は全体の約3割を占め、全業種中トップだ。高所作業や重量物の扱いが多く、比較的労働災害が発生しやすい環境ゆえに、建設業では従来から安全性への配慮が求められていた。
きっかけの一つとなったのは、近年深刻化する人手不足が挙げられよう。帝国データバンクの調べ(人手不足に対する企業の動向調査(2019年4月))では、建設業で正社員の人手不足を感じる企業は6割を超えるなど高水準で推移しており、人材確保の面で課題を抱える企業は多い。「3K(きつい・汚い・危険)職場」として、特に若年層などから敬遠されがちな建設業だが、「ISO45001を取得する事で、労働災害に配慮した企業であることが求職者にアピールでき、採用で有利となった事例もある」(先述の関係者)ことも、労働安全対策に向けた建設業者のISO認証取得を強く後押ししているという。
自治体などの入札で優遇されることも追い風に
労働安全衛生の確保に向け、業界全体で改善が進む建設業。従来抱かれていた「危険な職場」からのイメージアップに繋げる事が出来るか、今後の取り組みに注目が必要だ。
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