民事再生ハイペース
2019.08.23
再建型の倒産となる民事再生法の申し立てがハイペースだ。主戦場となる東京地裁の事件番号でみた申し立て件数は、人気ドラマ“逃げ恥”制作のイメージフィールド社で29件(官報6月末時点)と、昨年の同時期の14件と比べ倍のペースとなっている。現在、民事再生事件に関わっている弁護士も「相談案件は多い」と声をひそめる。
これまで申立件数が落ち着いていたのは、リーマン・ショック後の2009年12月に施行された中小企業金融円滑化法の効果が大きかったと言えるだろう。同法は、金融機関に対して金利の減免や返済期間の延長など返済条件の変更、いわゆるリスケを企業から求められた場合には、「できる限り、柔軟に」応じるよう努力義務が定められたもの。時限立法として成立された同法は、2度の延長を経て2013年3月末に期限を迎えたが、以降も「努めるべき」として効果は持続、実質初年度の2010年度に約130万件あった申し込みは、報告最終年度となった2018年度でも再リスケを含めて約70万件にのぼった。
ステークホルダーの本音は
結局のところ、実抜計画遂行の重石となるのはやはり借入金だ。リスケ状態から一定の利益を上げて借入金を返済していくことの難しさは、経営者はもちろんのこと、金融機関や取引先、従業員も理解しているのではないか。スポンサーを探す、M&Aをするにしても、案件を持ち込まれた企業にとっては、借入金を抱えたままの企業の支援については二の足を踏まざるを得ない。しかし、民事再生法などによって借入金の負担が大幅に軽減されるのであれば、スポンサーに名乗りを上げようと考える支援企業は一定数存在するはずだ。長らく経営不振が続いている企業の従業員にとっては閉塞感から抜け出すキッカケになりうるだろうが、経営者にとっては厳しい選択だ。もちろん債権者にとってはただ事ではない。しかしこのままでは・・・というのがステークホルダーの本音ではなかろうか。
こうした状況に転機となりそうなのが、円滑化法終了後も続いていた「貸付条件の変更等の状況」の報告だ。金融庁が各金融機関に取り組み状況の報告を求めていたもので、6月28日の同庁発表分をもって休止となった。報告義務がなくなったことで、すでに貸倒引当金を計上している金融機関が再建を促す意味で背中を押す、というシナリオは絵空事ではない。
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https://news.yahoo.co.jp/media/teikokudb