事業継続の準備はできていますか? ~景気のミカタ~
2019.07.26
企業は、自然災害や感染症の流行、情報セキュリティ事故などの緊急事態が生じた際に、事業資産への影響を最小限にとどめ、事業の継続や早期復旧をすることが求められています。そのため、さまざまなリスクに対する企業活動への影響を想定し、平常時から対応措置などを準備しておくことが、事業の継続のみならず企業価値の維持・向上の観点からも重要となります。
実際、企業からは、「BCPの重要性を感じてはいるが、時間や人材が確保できない」(塗装工事)や「BCP自体、勉強不足のためによくわかっていない」(貸家)など、重要性を理解しつつも策定に必要な時間や人材、知識不足などを指摘する意見が聞かれました。また、「南海トラフ地震の発生時には、大きな被害が予想されるので、その時に迅速に対応できるように模擬訓練をできるようにしたい」(冷暖房設備工事)といった、南海トラフ地震を想定してBCPの策定に取り組もうとする姿勢もうかがえます。
景気状況とBCP策定には関係がある
総じて、景況感が良い企業ほどBCPを策定する意欲があり、景況感が悪くなるにつれて減少していく傾向が表れています。
BCPを策定していない理由として、景況感が悪くなるほど策定する「費用を確保できない」ことが挙げられます。一方で、策定する人材や時間、スキル・ノウハウの不足は、比較的景況感に左右されない傾向もみられます。やはり、景気が良くなければBCPを策定するコスト負担を気にせざるを得ないことが示唆されていると言えるのではないでしょうか。
BCP策定に向けて社会全体の取り組みが重要に
しかし、BCPを策定していない企業も半数近く存在しています。BCPの策定が進まない要因として、策定に必要なノウハウなどが足りないことや、物理的に人材や時間が不足していることなどがあげられ、BCP策定の大きな障害となっています。
BCPの策定は、自社における従業員のリスクに対する意識向上や業務改善に効果があるものの、ノウハウや人手の不足など障壁はまだまだ高いのが現状です。また、企業の景況感とBCP策定状況には一定の関係性も見受けられます。政府や行政機関を含め、社会全体として、企業のBCP策定推進に向けた一層の取組み支援を行う必要があるでしょう。
執筆:情報統括部 産業情報分析課 窪田 剛士
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