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  • 変化する映画館、業績は好調も値上げの訳とは

2019.10.17

 名作シリーズの続編や人気ドラマの映画化 など、今年も話題が尽きない
~Yahoo!ニュース掲載~

皆さんが最後に映画館へ足を運んだのはいつだろうか。今年も注目映画がいくつも公開されている。ディズニーが制作したアニメーション映画の実写リメイク版『アラジン』や、アメコミファン層に支持される『アベンジャーズ/エンドゲーム』、新海誠監督の『天気の子』など、大型タイトルを鑑賞した方も多いのではないか。

2018年は減収も、ここ数年は概ね右肩上がり

映画館経営業者の収入高合計
話題の新作が続々と上映されるなか、映画館経営業者の業績はどうか。帝国データバンクの企業概要データベース「COSMOS2」より、「映画館」を主業とし、かつ業績比較が可能な71社を抽出、分析した。

71社の収入高合計は2012年以降概ね右肩上がりで、2017年には約2477億2500万円となった。2018年は約2406億4500万円と減収も、依然として好調だ。背景には、2016年に公開された『シン・ゴジラ』や『君の名は。』が大ヒットを記録したほか、その後も『ラ・ラ・ランド』(2017年日本公開)、『ボヘミアン・ラプソディ』(2018年公開)『名探偵コナン ゼロの執行人』(同)などヒット作が連発。また、SNSで話題となり拡大公開された『この世界の片隅に』(2016年公開)や『カメラを止めるな!』(2018年公開)が異例のロングランになるなど、予想を上回るヒット作に恵まれたことも業績に寄与したと考えられる。

チケット代値上げ、背景には人件費高騰と設備投資

業績が好調な一方、今年6月には映画館経営各社からチケット代を値上げすることが発表され、話題となった。なぜ各社はこのタイミングで値上げに踏み切ったのか。理由として挙げていたのは「人件費の高騰と設備投資」である。

昨今は「4DX」や「ScreenX」といったエンターテイメント性の高い設備や「IMAXレーザー」など最先端の映像・音響設備などが増えており、映画の内容をさらに盛りあげる工夫がなされている。実際に業績自体は向上も、設備投資が重い負担となり減益となっている企業も見受けられた。また、それ以外にもフード・ドリンク代は映画館にとって貴重な収入源であるため、アルバイト等の人件費も頭の痛い問題である。そのため値上げはやむを得ない判断であったのだろう。

「観る」だけではなく「楽しむ」場へ

2008年以降の映画館入場者数
一般社団法人日本映画製作者連盟が発表したデータによれば、映画館入場者数は2016年に1億8000万人を超えて以降、2年連続で減少。収入高合計は右肩上がりであっても、各社にとって集客は最優先の課題といえる。昨今はアーティストやアイドルのライブビューイング、応援上映などのほか、コンプリートのためについリピートしたくなるよう入場特典を充実させるなど、映画館に足を運んでもらうための取り組みは多く見られるようになってきた。このように「体感型」の設備と合わせて映画に付加価値を与え、満足度を高める動きが盛んだ。そのほか、各社は映画のラインナップに依存しない独自のイベントを開催するなど、新規顧客の獲得に向けて試行錯誤を続けている。

また、TOHOシネマズは今年9月より、インターネットでチケットを購入する際の決済サービスにLINE Payを導入。ユーザーの利便性向上を図るなど、入場者数の増加を期待した策が練られている。

さらなる集客のため、様々な手法で各社の奮闘は続く。
本記事は2019/9/27にYahoo!ニュースに掲載されたものを編集しました。

過去のYahoo!ニュースでのリリース記事はこちらからご確認いただけます。
https://news.yahoo.co.jp/media/teikokudb

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