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  • 家族構成が変える日本のビジネス ~景気のミカタ~

2020.01.17

年齢や家族形態の変化をいかにビジネスにつなげるか・・

今回の景気のミカタは、人口減少下において年齢構成や家族形態が変化するなかで、新たなビジネスチャンスを捉えることについて焦点をあてています。

将来、日本における年齢構成は大きく変わる

図表1 年齢区分別人口の推移
国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口によると、日本の総人口は2015年の1億2,709万5千人から、2025年は1億2,254万4千人と2015年と比べて455万1千人(-3.6%)減少し、2035年は1億1,521万6千人(1,187万9千人減、-9.3%)になると予測されています。

また、年齢別でも14歳以下の年少人口と15歳~64歳の生産年齢人口は大きく減少(それぞれ、2025年に187万2千人減、558万1千人減、2035年に348万8千人減、1,234万人減)する一方、65歳以上の老年人口は2025年に290万3千人増加し(2035年は394万9千人増)、なかでも75歳以上は547万7千人増となっています(2035年は627万5千人増)。これまでにも頻繁に議論となってきた急速な少子高齢化の進展です(図表1)。

生涯未婚率の上昇と家族形態の変化

図表2 50歳時未婚率(生涯未婚率)の推移
さらに、平均初婚年齢が上昇しているなかで、50歳時未婚率(50歳時点で一度も結婚をしたことのない人の割合、生涯未婚率)も2015年の男性23.4%、女性14.1%から2035年には男性28.9%、女性18.5%まで上昇すると見込まれています(図表2)。
図表3 家族類型の推移
これらのことは同時に家族の形も変えていくことになるでしょう。2015年から2035年にかけて家族類型別世帯数は以下のように変化するとみられています(カッコ内構成比)。

単独    1,842万世帯(34.5%) → 2,023万世帯(38.7%)
夫婦のみ  1,076万世帯(20.2%) → 1,096万世帯(21.0%)
夫婦と子  1,434万世帯(26.9%) → 1,246万世帯(23.8%)
ひとり親と子 477万世帯(8.9%) →  507万世帯(9.7%)
その他    504万世帯(9.5%) →  358万世帯(6.8%)


総世帯数は2025年をピークに減少するうえ、4割近くが単独世帯となり、いわゆる核家族も緩やかに割合が低下していきます(図表3)。

このように、将来の日本の人口や家族・世帯構成が変化していくなかで、経済構造や成長産業も必ず変わります。また、働き方改革も本格化していくことになるでしょう。

この変化は国の政策にもあらわれており、成長戦略にある関連施策では、2019年10月から始まった幼児教育・保育の無償化など子育て世帯の負担軽減、男性の育児・家事への参加促進や育児休業取得など育児・家事の負担が女性に偏っている現状の是正などが進められています。

人口減少下、年齢構成と家族形態の変化をビジネスにつなげる

2020年は5年ごとに行われる国勢調査の実施年です。今年は西暦の末尾が0の年であるため、10年に一度の大規模調査となります。国勢調査は、政治や行政施策の基準となる統計だけでなく、民間企業においても非常に有用です。

特に、民間企業の利用方法で多いのが、国勢調査から得られる人口・世帯構成や人口の地域分布などから、市場規模や需要動向の見積もり、新商品開発、出店戦略などをたてることです。

例えば、単独世帯が増えていると食生活が変わり、家族で食べる鍋料理などは需要が減ることが想定されます。そこで、調味料などを家族単位から個人単位に合わせた商品展開にすることが考えられます。あるいは、人口分布が郊外から都心に移っているのであれば、自動車へのニーズが変わることから、ファミリーカータイプよりも軽自動車など小回りのきく小型車開発に力を入れることになるでしょう。

また、郊外に新店舗の出店を計画しているのであれば、店舗面積をどの程度にし、どのような品揃えにするかの判断材料ともなりますし、高齢化が進行している地域であれば、高齢者のニーズに合わせて栄養等も考えた食品の宅配サービスの提供など、国勢調査の結果を使ったビジネスへの応用は数限りなく考えられます。人口が減少するなかにおいて、年齢構成や家族形態の変化による将来の生活者の姿をイメージすることで、新たなビジネスチャンスを発掘することができるでしょう。

執筆:情報統括部 産業情報分析課 窪田 剛士

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