【レポート】データ活用による営業戦略の高度化と実践
2020.03.12
~成果をあげる顧客データ基盤構築と活用~
2020年2月10日(月)に、グローバルビジネスハブ東京(東京都千代田区)にて、株式会社セールスフォース・ドットコム様(以下、セールスフォース・ドットコム) 、Sansan株式会社様(以下、Sansan)、株式会社帝国データバンク(以下、TDB)共催セミナーが開かれました。
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第1部 株式会社帝国データバンク 営業企画部 東日本営業企画課 黒澤 学
第2部 Sansan株式会社 Sansan事業部 ソリューション推進部 副部長 久永 航様
第3部 株式会社セールスフォース・ドットコム 常務執行役員 宮﨑 盛光様
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顧客データ基盤整備の重要性
見込み顧客(リード)と取引先情報が整備されることで実現できる、各部門の生産性向上の事例を紹介しました。企業の状態はめまぐるしく変化しており、商号変更であれば1時間に10社の頻度で発生しています。黒澤は、「こうした企業情報の変化によって、企業データの重複、陳腐化、誤登録が積み重なり、データの利用価値が損なわれる」と言います。また、そのような変化を自社で把握することは困難であるとしています。
■データの粒度を統一する
■アカウントを正しく設定する
■ポテンシャルを把握する
データの粒度を統一することで、企業単位、事業所単位、個人単位の情報を整備し、業種・年商・信用度などの属性情報を把握しておくことで、自社取引先のポテンシャルを正しく測定し、自社の商材に適したアカウント(事業所・部署・担当者)に対してアプローチすることが重要であると話しました。
これらのデータ整備を実現するうえで、Salesforceは最適な器であるとしたうえで、TDBからはSalesforceとの連携ツールである「TDB-DataDrive」を紹介しました。本ツールはSalesforceのAppExchange上に無料配布されているアプリケーションで、TDB企業情報と自社顧客情報の一元管理を実現することができます。
営業戦略を高度化する、名刺を起点にした顧客データ基盤構築とは
Sansanは業界シェアNo.1の名刺管理サービスであり、名刺管理にとどまらず、顧客データベースとしての付加価値を高めるサービスを展開しています。
冒頭、BtoB営業においては、どの企業×どの部署×誰にアプローチするかが重要であることが投げかけられました。Sansanによれば、毎年専門職の20%以上の人物は役割が変わるとされており、企業の変化以上に、人物の変化は絶えず発生しているため、的確なアプローチにはその変化を捉えることが重要であると久永氏は言います。
次に、営業戦略を高度化し、成果に結びつける3つのステップとして、「顧客データを集約・共有」、「キーマンを漏れなく抽出」、「経緯をふまえた複数部門リーチ」であることが紹介されました。続けて、これまでBtoB営業において、管理されてきたのは企業情報までであり、人物情報の管理はほとんどされていない状態であると言います。
久永氏によれば、「顧客データの40%は使える状態になっていない」とのことで、顧客データは毎年22%劣化し、正しいデータが古くて使えないデータへ変容してしまうそうです。
こうした事態では、メールの誤送信などのトラブルに発生してしまい、顧客データの価値は低下してしまいます。
Sansanが唱える営業戦略の高度化は、人物の変化を終える高度な名寄せ、そのためには高精度な入力精度が必要であるとしています。久永氏は、正規化された企業データを持つTDBと名刺データを持つSansanを組み合わせることで、企業の中の個人について一気通貫で整備することができると話しました。
続いて、企業情報との連携について触れ、Sansan上で名刺情報と併せて、TDBの企業情報が見れることで、一つのツールに集約されることが紹介されました。Sansanを利用することで名刺情報を起点にして営業戦略の高度化を実現する顧客データ基盤構築を可能にすることを提言しました。
データ活用による営業戦略の高度化と実践
宮﨑氏は、顧客データを活用した営業にあたり、「最初にやることはデータをまとめること」と言います。名刺をまとめ、顧客をまとめる。文字で書くと簡単に見えますが、これが一番重要で難易度が高く、かつ効果があることであると提言します。
加えて、営業は人脈と仕組みであると言います。その仕組みを具体化するものがSalesforceであり、基盤となるデータは、TDB×Sansanで実現することで、究極の顧客マスタは実現できると言います。
事例として、Salesforceで行っている営業管理の手法、「パイプライン管理」を紹介しましました。管理のステップとして、①Excel管理、②商談プロセスによるパイプライン管理、③AIによるパイプライン管理と3レベルに分け、それぞれの課題を説明しました。
①Excel管理では内諾、受注まではリスト化されている一方で、案件化されていない見込み商談の管理がしにくいとされます。②商談プロセスによるパイプライン管理では、失注しても恥ではないという文化を醸成しなければ、見込みが入力されないほか、見積提示など自社の行動を軸としたものではなく、決裁者の内諾などお客様のステータスを軸にしたパイプラインが重要であることが示されました。
また、さらに高度な③AIによるパイプライン管理の紹介として、Salesforceでは、AI「Salesforce Eintstein」が過去の受注商談を分析して、確度を点数化することで、将来的な受注予測を可能とします。また、失注商談リストが自動で生成されることで、営業の苦手なフェーズがわかるトレーニング、失注先に再アプローチ、受注商談との比較による機械学習、投資対効果の高い開発ができる点も経営に有効であることが示されました。
本セミナーでは、TDBによる企業データ、Sansanによる人脈データの連携によるデータ活用の可能性と、これらのデータをSalesforceで運用することによる営業活動の進化についてご理解いただきました。
今後とも帝国データバンクでは、顧客管理や企業情報の活用に関する情報発信を続けていきますので、よろしくお願いいたします。