人生100年時代のビジネスモデル ~景気のミカタ~
2020.09.18
今回の景気のミカタは、人生100年時代と言われるなかで、パンデミック(感染症の世界的大流行)後に現れる社会と超高齢社会が重なる時代を生き抜くビジネスモデルの構築が、これまで以上に重要となっていくことに焦点をあてています。
人生100年時代におけるビジネスモデルを構築するには
金融老年学とは、高齢者の経済活動や資産選択など、長寿・加齢によって発生する経済・金融取引が社会経済システムにどのような影響を与えるかを研究する分野で、特に日本においては超高齢社会と金融の関わりが主なテーマとなっています。
きっかけは、金融庁が次年度にいかなる方針で金融行政を行っていくかを示す「金融行政方針」において、2017年に初めて次のような文章が記述されたことでした。
「高齢投資家の保護については、これまでも販売会社における態勢整備が進められているが、フィナンシャル・ジェロントロジー(金融老年学)の進展も踏まえ、よりきめ細かな高齢投資家の保護について検討する必要がある」
(「平成29事務年度 金融行政方針」2017年11月10日公表)
人生100年時代におけるビジネスモデルを構築するには
こうしたなか、政府は「高齢社会対策大綱」(2018年2月16日閣議決定)において、「高齢期に不安なくゆとりある生活を維持していくためには、それぞれの状況に適した資産の運用と取崩しを含めた資産の有効活用が計画的に行われる必要がある」として、金融老年学を踏まえて、「認知能力の低下など、高齢期にみられる特徴に一層の対策を図る」としています。
こうした流れが続いているなかで、9月11日、内閣府は2020年度「エイジレス・ライフ実践事例」および「社会参加活動事例」を決定しました。そこには、子育て世代の相談や防災イベントへの協力など、さまざまな人生経験を踏まえつつも地元に貢献している多くの事例にあふれています。
これからは「人生100年」を念頭にした人生設計が必要になるのかもしれません。そこでは、企業にとって、顧客との関係性は長期継続的な視点もより重要となってくるでしょう。いま、政府や金融庁が促すまでもなく、新型コロナウイルスによるパンデミック後には、さらに進む超高齢社会に対応したビジネスモデルや社会経済システムの構築が求められているのではないでしょうか。
執筆:情報統括部 産業情報分析課 窪田 剛士
景気動向調査からのお知らせ
【YouTube】TDB景気動向チャンネル
【Twitter】TDB景気動向[公式]
■景気動向調査モニターへのご協力のお願い
本コラムシリーズで紹介する景気DIや見通しは、ビジネスを展開する企業の皆さまの声の集まりです。
マスコミ各社や関連省庁など広く社会に発信しています調査結果は、国会審議等でも取り上げられ、政府や官公庁など政策立案にも生かされています。
景気動向調査に回答して、皆さまの声を日本経済に反映してみませんか?
景気動向調査のモニター登録はこちら
https://h096.tdb.co.jp/mypage/regist/bTgT3RTg3sgg3TdBF