損益計算書の構造|財務会計のイロハのイ
2022.01.11
今回から「損益計算書」を扱います。「売上高」はもちろん、段階利益である「売上総利益」「営業利益」「経常利益」「税引前当期純利益」「当期純利益」の違いに注意しながら、損益計算書の構造を理解していきましょう。
新入社員「どれだけ1年間で売上を計上し、コストはどのくらい出たのか、最終的にどれほど儲かったのか、というのは確かに直感的に理解しやすいですよね。」
先輩社員「そうですね。ただ、コストの分類や利益の意味など、段階がいくつか分かれていますので、取り違えて覚えないように注意しましょう。」
新入社員「はい…。ただ、一番上は売上高、というのは流石に間違えませんよ。」
先輩社員「会社が儲けて存続していくには、商品やサービスをお客さんに買ってもらわなければいけませんからね。まずは、売上高がトップラインに計上されます。そして、製造業であればその商品を製造するための、卸売業であれば商品仕入など、売上高に直接結びつくコストが、その下に計上されます。」
新入社員「原価ですね!製造業なら製造原価、卸売業なら売上原価など、呼び方が業態によって少し変わることもありますよね。」
先輩社員「しっかり予習しているようですね。その通り。そして、売上高から原価を差し引いた、第一段階目の利益である『売上総利益』が計上されます。これは『粗利』とも呼ばれますね。」
新入社員「最近では原価率何パーセントで提供しています、といった売り文句を見かけることもありますね。企業努力のアピールでしょうね。」
先輩社員「ただ、サービス業など、会社によっては原価を計上しないケースもありますので注意しましょう。次に、売上とは原価ほどの直接の結びつきは薄いものの、会社を経営していく上で必要なコストである『販売費及び一般管理費』が計上されます。役員報酬や、広告宣伝費等がその一例です。」
新入社員「よく略して『販管費』と呼ばれる経費ですね。『売上総利益』から『販管費』を差し引いて求められる利益は…『営業利益』ですよね?」
先輩社員「正解です。この『営業利益』は本業で儲けた利益とも呼ばれます。そして、その下には本業外の儲けやコストである『営業外収益』と『営業外費用』が計上されます。」
新入社員「預金の受取利息や借入金の支払利息あたりが思い浮かびます。」
先輩社員「今はそのイメージで良いでしょう。『営業利益』から『営業外収益・費用』を加減算して求められる次の利益は何でしょうか?」
新入社員「『経常利益』ですね。つい、『営業利益』と呼んでしまうことがあるので、ここは特に注意しています。」
先輩社員「会社全体のもうける力を示す利益、と呼ばれることもあります。損益計算書はまだ続いていまして、この下は臨時・巨額の収益やコストである『特別利益』と『特別損失』が計上されます。」
新入社員「そして、『当期純利益』が最後に来るんですよね?」
先輩社員「おっと、『特別損益』の下の利益は『税引前当期純利益』ですよ、そこから『法人税等』を差し引いて、税引き後の『当期純利益』となりますから注意しましょうね。」
新入社員「全問正解と思って油断しました…。もう一度、全部のコストと利益を書き出して復習します!」
ポイントの整理
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