営業成果を高めるデータベースマーケティング(後編)
2022.01.12
前編では、「BtoBマーケティングのデータ活用に関するアンケートレポート2021」の内容から、マーケティングチームの評価指標を達成しているチームは市場の把握ができていること、市場把握の方法やデータ活用している企業の事例などについて述べました。
後編では、マーケティングに活用する企業属性情報、データマネジメントの重要性、データ活用に向けて取り組むべきことに触れていきます。
マーケティングに必要な企業属性
『信用度』は、マーケティングの段階で販売できない先を除外しておきたいという考えでしょうし、利益がでている企業の方が投資しやすいため、『業績』が重視されます。『取引先・商流』は、どのようなサプライチェーンにいる企業であるかを確認することで、取引ポテンシャルを推測することができます。
入手困難度合いが高い上位3項目は、『決算書』『信用度』『企業属性の変化情報』でした。
マーケティング活動段階では取引がない見込み顧客から『決算書』は直接入手することは困難でしょう。『信用度』は財務状況や資本関係などから判断しますが、こちらも接点がない企業について自社で判断することは困難です。また、『企業属性の変化情報』については、上場企業であれば、公開される情報はありますが、非上場となると公開される情報は非常に限定的です。
重視度と入手困難度の2つの軸を少し別の見方をしてみます。図8は横軸に重視度、縦軸に入手困難度で各項目をプロットしたもので、ともに平均を超えている項目は『決算書』『信用度』『変動情報』『取引先・商流』『業績』の5つでした。この5項目については、マーケティングをするうえで重要だが、接点がない状況では入手困難な情報です。非上場企業となると公開される情報が少ないため、収集コストや公開されている情報量などを考えると必要な情報は外部企業データベースの活用が便利です。
ターゲティングの精度を高める顧客情報のリッチ化
顧客情報といっても、所在地などの基本的な情報しかなければ、優先順位がつけられない、仮説がたてられないなどの問題でマーケティングや営業に利用するには不十分です。業種、業績、取引先などの情報を付与できれば、マーケティング・営業の幅が広がり、ターゲティングやアプローチの精度を高めることができます。また、過去の実績を分析し、取引が多いセグメントであれば、事例を話すこともでき、提案の具体性も増します。
顧客情報のリッチ化に外部企業データベースの利用している企業が多く、アンケートでは84.3%が利用しているとのことでした。自社での収集の手間をかけずに市場の把握、顧客データをリッチ化してターゲティングの精度を高めたり、事前準備に活用することができます。
以下は企業情報を活用した事前準備の切り口の一例です。
●創業・設立
周年が近ければ、投資やイベントの予定はないか確認
●仕入先
競合他社から調達している場合は、内容の満足度を確認
●系列
系列企業で自社サービスを利用している企業はないか
●代表者生年月日
高齢であれば、事業承継の可能性があり、企業活動に大きな変化が生まれる
データマネジメントの重要性
「商号が間違っている」「表記がバラバラ」「住所が歯抜け」「部門によってデータ構造が異なる」「古いデータが残っている」などに関して30問のチェックリストの結果を点数化したところ、“点数が低い=データ管理ができていない”と、業務に支障が出ていることが明らかになりました(図9)。
マーケティングや営業の観点では、
・情報が古く連絡できない
・そもそも企業名の間違いが多い
・1つの企業に対して事業所ごとの管理のため、全体把握ができない
・属性情報が歯抜け状態なので、傾向分析ができない
などの支障があります。
コラムをご覧いただいている皆さまが全体をとりまとめる立場であれば、現場の実情を把握することに努めてください。営業、マーケティング部門の方は、業務支障や困りごとが会社に理解されていないかもしれませんので、経営企画部門へ伝えましょう。
他社比較でわかる自社の顧客データ管理レベル|チェックリスト付
マーケティング用顧客データベース
●マーケティング用顧客データベース構築は2.1倍
データベースがなければ、自社の顧客数の把握が困難だけでなく、顧客情報の蓄積やシステム間の連携ができないなどの問題が起きるため、インフラとして構築するべきでしょう。
●企業数・リード数の把握状況は2.3倍
自社が保有する企業数、リード数の把握状況については、達成と未達成では2倍以上の差がありました。顧客の数を把握できなければ、ターゲット選定やホワイトスペース発掘、数値に基づいた戦略立案ができず、場当たり的なマーケティング・営業活動になってしまう恐れがあります。
●リードと企業の紐づけは1.2倍
リードと企業の紐づけがされていない状態ですと、企業属性に応じた施策ができない、ターゲットに該当するリードであるか判断ができないなど、マーケティングへの活用に支障が生じます。
●自社顧客情報と外部企業データベースとの紐づけは1.5倍
自社顧客情報との外部企業データベースを紐づけすると、自社顧客はどのような属性が多いのかを分析し、既存顧客と類似企業へのアプローチが可能になります。
アンケートの結果をいくつかみましたが、達成チームの方がデータマネジメントできていることがおわかりいただけたかと思います
顧客データを活用できる状態にするために
特に「1.コード管理」「2.マスタ構築」を実践しなければ、顧客データはあっという間に不備だらけになってしまいます。「1.コード管理」による「2.マスタ構築」をしたうえで、「3.定期的なメンテナンス」を行うことで顧客情報が使える状態になります。
さらに「4.外部情報活用」により、顧客情報の価値を高めたり、工数削減を図ることができます。
これらができて、データ活用の基盤ができるといえます。「DXだ!」という前に、まずはデータマネジメントに取り組みましょう。
自社の顧客データが企業単位で整理され、属性情報が付与されて初めて、市場シェアを把握することができますし、ターゲット市場の明確化ができます。
データ活用に向けて取り組むべきこと
帝国データバンクが支援できること
●マーケティング段階では入手困難な情報を提供
確度の高い顧客へアプローチするためには顧客データをリッチ化する必要があります。しかし、マーケティング段階では接点がないため、重要かつ入手困難である情報があることは本レポートでも記載しました。弊社が保有する企業データベースは信用調査に基づいて入手した情報をもとに年1回以上のメンテナンスを実施し、高い精度と網羅性を担保しています。
企業概要データベースCOSMOS2
●600万件以上の辞書データとノウハウでデータマネジメントを支援
弊社が保有する企業情報には1社=1コードで設定したTDB企業コードと法人番号を設定しています。このコードを利用することで、社内に散在する顧客情報の一元化を支援してきた実績とノウハウがあります。
顧客データベース構築
●お手軽に外部データ活用をしたい方向けの顧客管理ツール
弊社保有の企業情報とお客さまがお持ちの取引先情報を一元管理できるクラウドサービス。帝国データバンクのデータベースと直結し、いつでも簡単に最新の企業情報を取得できます。お手軽に外部データの活用を始めることができます。
企業情報データ運用サービス DataDrive BasicCloud
●ご利用のシステムへ企業データを連携
システム連携により、お客さまのシステムから直接、全国全業種の企業情報が収録された帝国データバンクのデータベースを検索して、データを取得し、システムに取り込んでいただけます。
Webサイトへ入力された情報の企業特定を行うサービスも用意しています。
COSMOSNET APIサービス
また、企業データベースを各種プラットフォームで活用していただけるよう、連携モジュールを用意しています。
Salesforce/Microsoft Dynamics/SAP/kintone/UiPath
データ連携サービス
データ活用の重要性はますます高まっていくでしょう。
マーケティングへの企業データ活用でのお困りごとやご相談がありましたら、お気軽に弊社までご相談ください。
営業企画部マーケティング課 貞閑洋平
◆営業成果を高めるデータベースマーケティング◆
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