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  • 営業外損益|財務会計のイロハのイ

2022.02.22

初心者向けシリーズ「財務会計のイロハのイ」 Vol.19

今回は、損益計算書上の「営業外損益」つまり「営業外収益」と「営業外費用」のそれぞれに該当する科目の特徴について、「営業利益」と「経常利益」の関係性についても意識しながら理解を深めましょう。
先輩社員「前回は『販売費及び一般管理費』について話しましたが、今回は、『営業外損益』についてです」

新入社員「損益計算書の『営業利益』の下、『経常利益』の上にあたる項目ですね。『営業外損益』ということは、ここには収益も計上されるんですね?」

先輩社員「そうです。では、その『営業外収益』ですが、本業とは別に計上される収益について、具体的にどのようなイメージが浮かびますか?」

新入社員「本業は製造業だけど、儲かったお金の一部を株式投資に回し、それで儲けたら『営業外収益』になりそうですね」

先輩社員「『営業外収益』の一例として、正解ですね。株価の値上がりによる『有価証券評価益』、実際に売却して確定した利益としての『有価証券売却益』のほか、『受取配当金』も関連する営業外収益となります。他には、会社の敷地の一部を駐車場として貸し出すことによる『不動産賃貸料』や、少額ですが預金の『受取利息』なども営業外収益となります」

新入社員「本業が不動産賃貸業であれば、『不動産賃貸料』は売り上げになりますよね?」

先輩社員「その通りです。ビジネスモデルによって、営業外収益の中身が変わってくる、ということにも気づきましたね」

新入社員「本業かどうかの判断は、その会社が任意に定めてよいものなんですか?」

先輩社員「定款に記載している会社の目的が本業となるのが一般的ですが、従業が大きくなってきたら、売上高に組み入れるようなケースもあります。金額の大きな営業外収益が毎期計上されているような決算書を見かけたら、その要因をしっかり把握したいですね。詳しくは次回に説明しますが、臨時・巨額のものは『特別損益』項目に計上されるルールとなっています」

新入社員「そのお話を聞くと、やはり損益計算書も1期だけ確認するのではなく、過去期から続けて確認する大切さがわかってきました」

先輩社員「そうですね。ビジネスモデルの変容や、その会社が置かれている状況も毎期変わってきます。できれば決算書以外の情報も把握して、裏付けをとりたいですね。では、次は『営業外費用』ですが、こちらはどうでしょうか?」

新入社員「先ほどと同じように株式投資をしたけれど、失敗して損失が出てしまったら『営業外費用』ですよね」

先輩社員「基本的にはそのイメージで良いでしょう。値下がりは『有価証券評価損』、損切りして売ったら『有価証券売却損』ということですね。他によく計上される営業外費用としては、借入金に対する『支払利息』も代表科目の一つと言えますよ」

新入社員「あまりにも『支払利息』が多すぎると、借入金が多いのではないか、とか、高い利率の融資が多いのか、といったことにも気が付けそうですね」

先輩社員「なかなか良い着眼点です。他にも、営業利益よりも経常利益のほうが大きかったら、たまたま本業以外の利益で儲かった期だったのかもしれない、といった考察もできます」

新入社員「できれば本業の利益である営業利益が大きい方が好ましいですよね。このようなケースも、前期はどうだったのかが気になりますね」

先輩社員「そうですね。ただ、営業外損益の科目でも『雑収入』や『雑損失』という科目で、その中身が明確にわからないこともありますので注意しましょう。繰り返しになりますが、決算書だけではわからない定性情報の重要性も、決算書が読めるようになればなるほど痛感するでしょう」

新入社員「なかなか険しい道のりのように感じますが、経験を積んで慣れていきます!」

ポイントの整理

■売上高とはならない本業以外で得た経常的な収入は営業外収益、原価や販管費とならない主たる営業活動以外の活動で経常的に発生する費用は営業外費用となる

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