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2022.03.08

初心者向けシリーズ「財務会計のイロハのイ」 Vol.20

今回は、臨時に発生する金額が大きい損益である「特別損益」を解説しています。注意すべき点はどこなのかを含めて、具体例から理解を深めていきましょう。
先輩社員「さて、損益計算書の論点もラストになります。今回は『特別損益』についてお話しましょう。一言で言ってしまうと、臨時で巨額の利益、または損失ということです」

新入社員「イメージ的には会社の拠点が、火事や災害に見舞われて出た損失が思い浮かびます」

先輩社員「火災損失や災害損失というものですね。例えば、機械が全損してしまったら、その時の簿価が損失額として計上されます。ただ、保険をかけていれば、一方で保険金関連の特別利益が計上されることもあります」

新入社員「なるほど、いざという時の保険ですね。ちなみに、毎期の掛け金は原価や販売費及び一般管理費になるのでしょうか?」

先輩社員「そうですね。ただ、保険の掛け金については、細かい話をすると、一部は保険積立金という資産に計上されることもあります。やや上級レベルの話題になりますので、今回はやめておきましょう。特別損益項目に話を戻しますが、災害といったケース以外でも、例えば固定資産の除却や売却を行うと計上されることがあります」

新入社員「固定資産売却損益や、除却損は確かに目にしたことがあります。簿価よりも高く売れると特別利益に計上されるのですね」

先輩社員「あくまで、臨時・巨額がポイントです。金額が小さければ営業外収益に計上されることもあります」

新入社員「そういった使い分けがされるのですね。火災や保険はその会社固有の出来事ですが、時事的な要因で発生する特別損益科目とかって、あるんでしょうか?」

先輩社員「新型コロナウイルスの影響で休業していた時の費用や損失が特別損失として計上されるケースもみられるようになりました。このようなケースは、単純に金額的な影響額にとどまらず、カバーができているかや、現在の状況把握などに意識を向けてほしいですね」

新入社員「確かに、業種によっては大きく悪影響を受けてしまったということも耳にします。単純に売り上げの減少だけではなく、特別損失も含めて俯瞰しなければいけないんですね」

先輩社員「特別損益は、何らかの大きな変化がその会社に起こっている証左でもあります。その期の発生要因の見極めも重要ですが、今後の影響なども注意しておいた方が良いでしょう」

新入社員「他に、覚えておくとよい特別損益項目はありますか?」

先輩社員「そうですね…では『減損損失』という言葉を聞いたことがありますか?」

新入社員「新聞でワードを見たことがあります。『減価償却』とは違い、金額が大きい印象ですが、特別損失項目なんですね?」

先輩社員「臨時・巨額になることが多いので、特別損失に計上される科目の一つです。平たく言うと、将来の収益性の低下を反映したものですので、評価減といえるでしょう」

新入社員「何に対する評価減なんでしょうか?」

先輩社員「例えば、他国に進出した工場で作っている商品が不調となると、その『資産グループ』が評価減の対象となります。少々レベルの高い話になりますが、プロセスとしては対象の資産グループを特定し、将来キャッシュフローを見積もって、正しい価値を見極める、というイメージでしょうか。端的に、投資の回収が見込めなくなった部分を損失として把握することになります」

新入社員「将来の、ということは損失を計上したタイミングで、お金が出て行っているわけではないのでしょうか?」

先輩社員「鋭いですね。その通りです。損益計算書と、実際のお金の流れが一致しているわけではありませんから、減損損失のように金額のインパクトが大きいケースは気を付けた方が良いでしょうね。そのため、キャッシュフロー計算書についても知っておく必要があります。近々、基礎知識をお話ししたいと思います」

ポイントの整理

■臨時で巨額となる利益または損失が「特別損益」科目となる
■特別損益が計上されたケースでは、発生要因の把握に加え、今後、企業へどのような影響を及ぼしていくかに注意を払うのが肝要である

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