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  • キャッシュフロー計算書(中編)|財務会計のイロハのイ

2022.08.23

初心者向けシリーズ「財務会計のイロハのイ」 Vol.31

「営業」「投資」「財務」に大きく3つに分類されるキャッシュフロー計算書について、それぞれのカテゴリーごとに解説しています。
また、「フリーキャッシュフロー」ついても触れていますので、整理しながら1つ1つ理解をしていきましょう。
先輩社員「今回はキャッシュフロー計算書の構造についてみていきましょう。前回、キャッシュフロー計算書はお金の流れを色分けしている、と話しましたが、どのように大別されるか覚えていますか?」

新入社員「確か、“営業”、“投資”、“財務”に分かれるんでしたよね。なんとなくですが、それぞれのカテゴリーのイメージができますね」

先輩社員「損益計算書の段階利益のような専門的な名称じゃないですし、キャッシュインはプラス、キャッシュアウトはマイナスで示されるので、確かに飲み込みやすいかもしれません。各カテゴリーを順番に確認していきましょう。まずは“営業キャッシュフロー”です」

新入社員「その名の通り、主に商品の売上や仕入といったキャッシュの出入りに関連するカテゴリーですね?重要項目だというのはわかりますが、この項目がマイナスというケースは、本業でしっかりキャッシュを獲得できていない、ということで警戒したほうが良いのでしょうか?」

先輩社員「確かにそうですが、期末のタイミングで“決算キャンペーン”など、売上が先行して計上されるなど特別の事情が絡んで、たまたまマイナスとなったケースもあります。もちろん、損益面も赤字となっておりキャッシュ獲得に苦慮しているケースもあると思いますが、単独期だけではなく、数期連続でキャッシュの傾向をチェックしたいところです」

新入社員「なるほど!やはりキャッシュフロー計算書も、貸借対照表や損益計算書と同じように、連続期を追って状況を読み取ることが大切なんですね」

先輩社員「経年比較は鉄則ですので、忘れないでください。さて、次に“投資キャッシュフロー”ですが、これもイメージできるでしょうか?」

新入社員「投資という事は、例えば設備投資で不動産を買ったときとか、余剰資金で株といった有価証券を取得したケースが思い浮かびます」

先輩社員「正解です。もちろん購入だけではなく、固定資産の売却のケースはキャッシュインとなります。このカテゴリー全体でプラスとマイナスはどっちが良いと思いますか?」

新入社員「難しいですね。これも経年比較や他の帳票を見て、個別判断する必要がありそうです」

先輩社員「その企業が成長過程にあれば、マイナスで投資が進んでいるとみることができます。一方で、プラスのケースは、借入金の返済に迫られていて、資産を切り売りしているというケースもあるかもしれませんよ?」

新入社員「その場合は“財務キャッシュフロー”と合わせてチェックですね?このカテゴリーは、借入金の増減ですよね?」

先輩社員「なかなか良い着眼点です。借入金以外に、新しく株を発行して出資を受けたときも、この“財務キャッシュフロー”に計上されます。基本的には、借入金の返済が進んでいるマイナスが良いですが、プラスで特に借入が増えている時は、その目的や金額規模も確認しておくべきでしょう。どんな分析指標を参照しますか?」

新入社員「私なら“有利子負債月商倍率”もあわせてチェックしますね。借入金のボリュームは、現預金残と並んで重要項目だとインプットしています!」

先輩社員「基本はしっかり身についたようですね。ぜひ、いろいろなパターンを見てほしいです。もう一点、重要なキーワードとして“フリーキャッシュフロー”を紹介しておきましょう。複数の定義がありますが、今回は“営業キャッシュフロー”と“投資キャッシュフロー”を合算したもの、と覚えておいてください」

新入社員「主に借入金増減以外のキャッシュの動き、その合計ですよね。投資額が大きい時は、そのフリーキャッシュフローもマイナスになりそうですが、これも経年で見たとき連続でマイナスなら理由を探りたいですね」

先輩社員「その通りです。理想的なのは営業キャッシュフローで稼いだお金を、投資と借入金の返済として財務キャッシュフローに充てる構造ですが、投資額が大きいとそうもいきません。フリーキャッシュフローのマイナス要因が、そもそも営業キャッシュフローがマイナスになっていないか等も含めて、重要項目として見ておきたい項目です」

ポイントの整理

■キャッシュフロー計算書において、本業での商製品の売買等は「営業キャッシュフロー」、設備投資・株式投資は「投資キャッシュフロー」、借入金の増減・新株発行は「財務キャッシュフロー」と大きく3分類される。
■「営業キャッシュフロー」と「投資キャッシュフロー」を合算したものを「フリーキャッシュフロー」といい、   特に連続期マイナスとなっている場合は、その要因把握とともに注視すべきである。

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