2023年の日本経済はどうなる!?~景気のミカタ~
2023.01.20
今回の景気のミカタは、2023年の日本経済について、経済活動の正常化に向けた動きが進むなかで海外経済情勢とともに焦点をあてています。
2022年の国内景気はプラス要因とマイナス要因がせめぎ合い
一方で、3月にはまん延防止等重点措置が全面的に解除され、各種イベントが数年ぶりに開催されるなど、明るい兆しも出てきました。また、全国旅行支援や自治体による旅行割、水際対策の緩和もあり、新型コロナショックで落ち込んだ観光産業への需要回復策も投入されています。さらに、新型コロナにより浮き彫りとなった官民のデジタル化の遅れに対してDX(デジタルトランスフォーメーション)などIT投資も活発に行われました。
2022年の企業の景況感を帝国データバンク「景気動向調査」でみると、行動制限が行われていた2月までは落ち込みましたが、3月以降は緩やかな改善傾向が続き、12月の景気DIは43.0まで上向いています(図表1)。しかし、2021年12月(43.9)の水準には届いていない状況です。2022年は、プラス要因とマイナス要因がせめぎ合うなかで、なんとか現状の水準を維持したとも言えるでしょう。
2023年、主要国の経済成長率が鈍化するなかで、日本経済は踏ん張れるか!
しかし一方で、日本銀行は2022年12月19日~20日に行った金融政策決定会合で、これまでの大規模な金融緩和を修正する方針を決定。長期金利操作(イールド・カーブ・コントロール、YCC)について、長期金利の変動幅を従来の「プラスマイナス0.25%程度」から「プラスマイナス0.5%程度」に拡大しました。こうしたことを受けて、10年物国債の利回りが0.5%の水準まで上昇するなど、実質的な利上げが進んでいます。国内景気が回復プロセスに乗らない段階で金利が上昇することによる影響は注視する必要があるでしょう。
さらに、ロシア・ウクライナ情勢などの地政学的リスクの高まりや、米欧中など海外経済の動向も懸念されます。IMF(国際通貨基金)の経済見通し[1]によると、アメリカの経済成長率は2022年1.6%→2023年1.0%、ユーロ圏は同3.1%→同0.5%、イギリス同3.6%→同0.3%へと軒並み鈍化すると予測しています(図表2)。中国は同3.2%→同4.4%とやや持ち直すとしていますが、新型コロナ前ほどの勢いはみられません。世界経済全体でも2023年は2.7%増と好不況の判断水準である3%を下回ると予測されています。
帝国データバンクが行った調査[2]では、2023年に注目すべきキーワードとして「ロシア・ウクライナ情勢」が90.3%でダントツのトップとなっています。そのほか、「原油・原材料価格高騰」「電気料金値上げ」「円安」「新型コロナウイルス」が上位にあげられています。
このような状況のなか、帝国データバンクのマクロ経済予測モデルによる日本経済見通しでは、同1.2%→同1.2%と予測しています。2023年は1%台前半ながら他の主要先進国よりやや高い成長率となる見込みです。ただし、新型コロナからの回復に力強さが不足していたこともあり、新型コロナ前のピークだった2019年7~9月期の水準を上回るのは、来年になりそうです。
2023年の国内景気は実質利上げや海外経済情勢などの影響を受けながら、おおむね横ばい傾向で推移するとみられます。
[1] IMF, World Economic Outlook, October 2022
[2] 帝国データバンク「2023年の注目キーワードに関するアンケート」(2022年12月27日発表)
(情報統括部 情報統括課 主席研究員 窪田剛士)
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