上場の種類|調査報告書から学ぶビジネス教養
2023.04.04
【サマリー欄:上場区分】
みなさんは「上場企業」についてどのような印象をお持ちでしょうか。
「大手」「安定」「優良」などを思い浮かべる人も多いことでしょう。
しかし、一口に上場企業と言っても複雑な意味があります。
今回はそんな「上場」を紐解いていきます。
上場とは
上場のメリット
→上場によって多くの人々の目に止まるようになります。特に経営者や投資家には大いに注目されることでしょう。また、上場審査基準に合格することで、企業の信用力が向上し、新しいビジネスチャンスにつながる可能性もあります
・資金調達手段の多様化
→株式市場から直接的に資金を調達できるようになるほか、企業の信用力も高まるので銀行借入の幅も広がります
・内部管理体制の強化
→上場審査基準には組織体制の整備が前提になります。上場審査基準に合わせて組織整備を行うことで、上場後にはおのずと社内管理体制が強化されている状態になります
・優秀な人材の確保
→就職希望者にとって上場企業に持っている「大手」「安定」「優良」というイメージは重要なポイントになります。また内部管理体制が強化されることで、優秀な人材の流出防止にもつながります
上場のデメリット
→出資者が株主である以上、不特定多数の株主に配慮をしていく必要があります。株主総会等で様々な要望や批判を受ける可能性もあり、経営の自由度としては少なからず低下するでしょう
・株価で企業価値が判断される
→株価というのは株主から見て一番わかりやすい判断のポイントになります。故に、順調に推移すれば評価され、低迷すれば批判が集まる可能性があります
・企業が買収されるリスクが高まる
→株式を20~30%保有していれば企業を実質的な支配下に置くことも可能となります。競合先や意図していなかった企業に株を買い占められる可能性があります
・上場をするまでに時間とコストを要する
→上場審査基準に合格するためには準備段階で多くの時間とコストを要します
・上場を継続していくのにコストを要する
→上場は準備だけでなく維持にも時間とコストを要します。その為、上記と合わせ、時間とコストをかける価値があるのか検討する必要があるでしょう
上場区分と特徴
●東京証券取引所(東証)
・プライム市場
→プライム市場は、「多くの機関投資家の投資対象になりうる規模の時価総額(流動性)を持ち、より高いガバナンス水準を備え、投資者との建設的な対話を中心に据えて持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする企業向けの市場」をコンセプトとしています
・スタンダード市場
→スタンダード市場は「公開された市場における投資対象として一定の時価総額(流動性)を持ち、上場企業としての基本的なガバナンス水準を備えつつ、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする企業向けの市場」をコンセプトとしています
・グロース市場
→グロース市場は「高い成長可能性を実現するための事業計画及びその進捗の適時・適切な開示が行われ一定の市場評価が得られる一方、事業実績の観点から相対的にリスクが高い企業向けの市場」をコンセプトとしています
・TOKYO PRO Market
→プロ投資家向け市場。日本やアジアにおける成長力のある企業に新たな資金調達の場と他市場にはないメリットを提供すること、国内外のプロ投資家に新たな投資機会を提供すること、日本の金融市場の活性化ならびに国際化を図ることを目的としています。
[参照:日本証券取引所グループ]
●名古屋証券取引所(名証)
・プレミア市場
→プレミア市場は、「優れた収益基盤・財務状態に基づく高い市場評価を有し、個人投資家をはじめとする多くの投資家の継続的な保有対象となりうる企業向けの市場」をコンセプトとしています
・メイン市場
→メイン市場のコンセプトは「安定した経営基盤が確立され、一定の事業実績に基づく市場評価を有し、個人投資家をはじめとする多くの投資家の継続的な保有対象となりうる企業向けの市場」をコンセプトとしています
・ネクスト市場
→ネクスト市場は「将来のステップアップを見据えた事業計画及び進捗の適時・適切な開示が行われ、一定の市場評価を得ながら成長を目指す企業向けの市場」をコンセプトとしています
[参照:名古屋証券取引所]
●札幌証券取引所(札証)
・本則市場
→本則市場とは札幌証券取引所でメインとなる市場です
・アンビシャス
→アンビシャスは「近い将来における本則市場へのステップアップを視野に入れた中小・中堅企業向けの育成市場」をコンセプトとしています
[参照:札幌証券取引所]
●福岡証券取引所(福証)
・本則市場
→本則市場とは福岡証券取引所でメインとなる市場です
・Q-Board
→Q-Boardは「九州周辺の地域経済の浮揚・発展に資するため、今後成長しようとする企業に対し、資金調達の機会を提供すること」をコンセプトとしています
[参照:福岡証券取引所]
上場については以上になります。
どこのどの市場に上場しているのかによって企業の見え方も変わってきますよね。
次回は、サマリー欄の「主業・従業」から日本産業分類とTDB業種分類について解説していきます。
[作成者:株式会社帝国データバンク TDBカレッジ事務局]
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