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  • これがパクリ屋の手口だ ~取込詐欺に遭わないために~ 第1回

2023.04.20

「パクリ屋」とは取込詐欺業者の通称で、一般的な企業の体で中小零細から大企業をターゲットに忍び寄り、商品を取り込んで現金問屋に売却して現金化する悪質業者の集団です。主に大都市圏を中心に被害が出ており、近年では、コロナ禍で受注が先細りになっていく経営者の不安に乗じるなど、悪質極まりない事象が発生しています。
 被害に遭わないためにはパクリ屋の特徴や手口を掴み、事前の対策が重要です。企業調査のプロ集団である帝国データバンクがパクリ屋に関するリスクやポイントをわかりやすくご紹介します。

パクリ屋の手口

図1
パクリ屋は複数の企業が連携して詐欺を働く「引き合い」により、取り込まれた商品が複数の業者を介するため、どういうルートで商品が流れているかがわかりにくくなります。(図1参照)

複数企業が組織化され、さらには裏で反社会的勢力とつながっているケースも報告されているため一層の注意が必要です。

パクリ屋の特徴その1 設立から営業開始まで

パクリ屋の設立パターンは「休眠会社」か「営業を続けている会社」のいずれかを利用する2パターンがあります。特に休眠会社の商業登記はネット上でも売買されており、比較的容易に手に入れられる環境にあります。その中でも「資本金準備が不要」「対外的な信用を得やすい」といったことから、「社歴が長い」「銀行口座が使える」「営業当時の決算書が残っている」「各種免許を取得している」会社が悪用されるケースが目立ちます。

また、良く知られている大手優良企業の名前や、カタカナやローマ字を織り交ぜ、もっともらしい商号にすることもよく見られます。

会社案内やホームページを用意していることもありますが、記載されている取引金融機関や得意先は見栄えをよくするためであり、実際には取引がないことが大半です。新たな手法としては、経営難の老舗企業にコンサルタントという名目で入り込み、従来真っ当であった会社をパクリ屋に仕立てるという事例も見られます。

パクリ屋の特徴その2 パクリ屋の外見

シェアオフィスや電話代行サービスを活用しているケースが多くみられます。シェアオフィスはビルのフロアの一角に電話、イス、テーブルだけを設置したブースに仕切られていて、一見複数の会社が入居しているように見えます。また一等地に建つビルが多く、パクリ屋はこれらオフィスを利用して外見をよく見せたがる傾向があるため、住所だけで鵜呑みにするのは危険です。

電話代行サービスは、自分の会社の社員のように電話応対してもらえるサービスです。慣れた応対がされるので接触した際は好印象を抱くかもしれませんが、用件を話しても「社長は不在です。後程お掛け直しいたします」といった通り一遍の返事が多いです。

また、昔からパクリ屋が集まりやすい地域もあります。入居しやすい雑居ビルや、ターゲットになりうる会社や問屋が多く集まるエリア、アクセスが良いエリアに集中すると言われています。

パクリ屋の特徴その3 アプローチと商談の進め方

1.接触方法
ターゲット企業に対し、電話、ファックス、メールで商談を持ち掛けてきます。また、大規模展示会に出展した際にブースに立ち寄り、商談という形式で接点を持つパターンもあります。実際に大手企業が展示会で名刺を交換すると、一定以上の割合で何をやっているか分からない怪しげな会社が混じっているとも聞かれます。

2.取扱い商材
パクリ屋が狙う商材は冷凍食品、食肉、水産品、OA機器など換金性が高い商材です。東日本大震災以降は防犯グッズやLED、太陽光関連、タブレット端末などの商材が増加しています。PCやタブレット端末は特定銘柄の機器が高値で売れるため、種類を指定する場合は事務機器会社から警戒されます。

3.積極的な情報開示姿勢
パクリ屋自ら会社案内、登記簿謄本、決算書を提示して信頼性を高めようと必要以上に自社情報を開示します。ただし決算書内容につじつまが合わないことが多く、いかにも好業績であるような3期分の架空の決算書を用意してくることが多いです。

4.取込までの仕込み取引
いきなり大口商談では相手企業も警戒するため、まずは現金かつ少額の取引を数回繰り返して信用を高め、頃合いを見て大口の掛け取引を行って取り込むパターンが一般的です。

5.発生時期
年末、大型連休は、発覚までに時間がかかったり、3月、9月の決算期前後は企業が売上を確保したいという状況にあるため、その隙を狙ってきます。

第2回に続く



[作成者:株式会社帝国データバンク TDBカレッジ事務局]

◆関連コラム

取り込み詐欺に関してはこちらでも説明しています。
パクリ屋の手口 ~商業登記に表れる異常~
連休と取り込み詐欺 ~彼らの収穫期~

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