不正発覚による倒産、過去最多の300件|厳選TDB調査レポート3選
2023.05.23
帝国データバンクが独自に調査を行い、定期的に「特別企画」と称し、レポートを発表しています。その中で、特に話題となったものをピックアップし、数字に焦点を当ててポイントを要約しています。短時間でトレンドを把握しましょう。
コンプライアンス違反企業の倒産動向調査
~「粉飾」、資金繰り支援の過程で表面化相次ぐ ~
(2023年4月26日掲載)
「物価高」「人手不足」「コロナ融資返済開始」など企業を取り巻く厳しい経営環境が続いて倒産件数が上向いてきている局面で、事業を存続させるため、コンプライアンス違反に手を染めたことが発覚して倒産に至る事例が増加しています。2022年度のコンプライアンス違反倒産は300件と前年度から96件(147.1%)増加し、2年連続で前年度を上回りました。違反類型別にみると、「資金使途不正」が69件(構成比23.0%)で最多となりました。次いで「粉飾」が62件(同20.7%)となりました。
今後も厳しい経営環境のなかで、企業存続のためコンプラ違反に手を染めていた、あるいは染めはじめるケースが表面化していくことが考えられます。
新型コロナ「5類」移行時の働き方の変化に関する実態調査
~ リモートワーク・テレワークの定着が追い風も4割近い企業でコロナ前に回帰 ~
(2023年4月24日掲載)
新型コロナウイルスの感染拡大が日本および世界の経済活動に多大な悪影響を与えはじめてから3年が経過し、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが「5類」に移行する中で、各社の働き方についてアンケートを行ったところ、働き方が『新型コロナ前と異なる』とする企業は38.0%となり、「新型コロナ前と同じ状態」とする企業は39.1%となりました。また、従業員数別にみると、従業員規模に比例して、新型コロナ前と働き方が異なる割合は高くなった。従業員数が「1,000人超」となる企業では52.9%に達しました。
引き続きリモートワークやテレワークなどを継続する企業がある一方で、感染対策を意識しながらも徐々に新型コロナ流行前の働き方へ戻す企業も多いです。今後、企業を取り巻く環境については働き方だけではなく、コロナ禍で本社を郊外へ移転した企業の都市部への回帰など新たな変化が生じる可能性もあると考えられます。
電気料金値上げに関する企業の実態アンケート
~ 電気料金は1年で4割増も、価格転嫁率14.9%にとどまる ~
(2023年4月18日掲載)
資源価格の高騰などを背景に、電気料金の値上げが続き、企業や家庭での負担が重くなっています。電気料金の増加分を販売価格やサービス料金にどの程度転嫁できているかを尋ねたところ、『全く価格転嫁できていない』と回答した企業が57.2%と6割近くを占め、今回の価格転嫁の回答から算出した電気料金の増加分に対する販売価格等への転嫁割合を示す「価格転嫁率」は14.9%にとどまりました。これは電気料金が100円増加した場合に14.9円しか販売価格等に反映できていないことを示しています。今回の調査が示す通り、電気料金の値上げによって企業負担が増し、収益環境の厳しい状況が続いているのが実情です。電気料金がコスト全体に占める割合は業種・業態によって差異はあるものの、電気料金の値上げが続くなかで価格転嫁が十分に進まなければ事業継続が難しくなる企業が増えると考えられます。
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