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  • 新型コロナ禍からの回復、酒類業界が急上昇!~景気のミカタ~

2023.06.23

外食産業は復活するのか、酒類業界の未来は!?

今回の景気のミカタは、人出の増加とともに持ち直している飲食店、とりわけ酒類業界の景況感が急上昇している点に焦点をあてています。

新型コロナ禍からの回復、飲食店からは明るい声も

図表1
2023年5月は、行動制限のないゴールデンウイークやインバウンド需要の拡大など、経済活動・社会生活の正常化に向けた動きが一段と加速しました。全国の観光スポットやイベントだけでなく、日常を取り戻しつつある喜びは、多くの人びとを前向きな感情へといざなうことでしょう。

新型コロナ禍で大きなダメージを受けた外食産業も例外ではありません。飲食店からは「インバウンドが増え、新型コロナウイルスの制限がなくなってきたことから、平日も客足が伸びてきた」(中華・東洋料理店)といった明るい声も聞こえてくるようになりました。飲食店の景況感を示す景気DIは、前月から5.9ポイント、前年同月から22.4ポイント改善するなど、2002年5月の調査開始以降で最高となる56.7へと上昇しています(図表1)。

酒場DIが急上昇、酒類業界も持ち直しの動き

図表2
この傾向は居酒屋や清酒製造、ビヤホールなどを含む酒類業界でも顕著に表れています。酒類業界では、感染拡大防止の観点から自粛されてきた外食や宴会向けをはじめとする業務用需要の本格的な回復が期待されています。さらに 2023 年 10 月にはビール・日本酒の減税が追い風となり、家庭用の需要回復も期待できるでしょう。

そこで、酒類業界(製造・卸売・小売・飲食)の景況感を表す指標として、酒類景気DI(酒場DI)[1]をみると、1回目の緊急事態宣言が発出された2020年4月に最低となる5.1を記録しました(図表2)。その後は緩やかに回復していましたが、感染者数の増減や行動制限の影響により上下を繰り返しながら、全産業の景気DIを大きく下回る状況が続いてきました[2]。

しかし、新型コロナの5類移行に向けた検討が本格化してくると、景況感は大幅に上向き、2023年5月には50.0へと達し、3カ月連続で全産業の景気DIを上回ることとなりました。

新型コロナ禍において宴会や会食の中止、自粛が相次ぎ厳しい経営環境に置かれてきた酒類業界ですが、「大人数の予約も増え、駅周辺の居酒屋もにぎわっている」(酒場、ビヤホール)など再び賑わいが戻りつつあります。

しかし、酒類業界は、居酒屋の倒産が過去最多ペースで発生しているほか、人手不足も深刻化しています。そのため、業界全体で持ち直しの動きがみられるこの機会を捉えて、消費者の心をつかむサービスの展開で活発化することが何より重要となるでしょう。


[1] 酒類景気 DI(酒場 DI)」は、「果実酒製造」「ビール製造」「清酒製造」「蒸留酒・混成酒製造」「酒類卸売」「酒小売」「バー,キャバレー,ナイトクラブ」「酒場,ビヤホール」に属する企業の景気判断を総合した指標。酒場DIは0~100の値をとり、50より上であれば景気が「良い」、下であれば「悪い」を意味し、50が判断の分かれ目となる。

[2] 帝国データバンク「酒類業界の景気動向」産業分析レポートNo.7、June 19, 2023


(情報統括部 情報統括課 主席研究員 窪田剛士)

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