首都圏・本社移転動向調査(2023年上半期)|TDB特別企画レポート
2023.09.06
企業の本社 「脱首都圏」 減速
~1-6月は8社の「転出超過」、22年から大幅減~
足元では、東京都心を中心に高機能オフィスの供給が拡大するなど企業の受け入れ態勢が整ってきているほか、取引先との関係構築、人材採用の強化、海外や地方へのアクセス面など、首都圏に本社を置くメリットが再び見直され、地方の中堅企業を中心に首都圏への本社移転が増えている。こうした流れが続けば、首都圏の本社移転動向は3年ぶりに転入超過に転じる可能性がある。
帝国データバンクは、2023年1-6月に首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)⇔地方間を跨いだ「本社所在地の移転」が判明した企業(個人事業主、非営利法人等含む)について、保有する企業概要データベースのうち業種や規模が判明している企業を対象に分析を行った
[注1] 本社とは、実質的な本社機能(事務所など)が所在する事業所を指し、商業登記上の本店所在地と異なるケースがある
[注2] 首都圏の企業転出・転入は、首都圏内外をまたぐ道府県との本社移転を指しており、首都圏内での県境を跨ぐ本社移転は含まれない
企業の「脱首都圏」急減速 23年上半期は8社の「転出超過」、前年から大幅減
他方、同期間における首都圏への転入企業は164社で、22年から大幅に増加したほか、過去10年で15年・21年(172社)に次ぐ多さとなった。企業の首都圏流入の動きは昨年まで停滞していたものの、23年は一転して活発化している。特に、年売上高10億円以上の地場中堅・大手企業などで首都圏への本社移転が目立ち、23年1-6月の首都圏転入社数における割合(24.5%)は、前年同期の18.5%を大幅に上回った。
この結果、2023年1-6月における首都圏への本社移転動向は、転出企業が転入企業を8社上回る「転出超過」となった。ただ、転出超過の社数は22年同期(44社)に比べて大幅に減少しており、地方へ転出する企業数の伸び悩みと、中堅企業を対象とした首都圏の企業吸引力が急回復したことを背景に、企業の「脱首都圏」の動きは足元で急減速の兆しがみられる。
首都圏からの転出先、37 → 34道府県に減少 「首都圏近郊」へ回帰の兆し
地方から首都圏へ移転した企業の転入元では、「大阪府」(33社)が最も多かった。次いで「福岡県」(15社)、「愛知県」(13社)、「兵庫県」(11社)などが続いた。
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