学校給食など「給食業界」動向調査(2022年度)|TDB特別企画レポート
2023.09.08
給食事業 2割が「全く値上げできず」
~6割超が業績悪化 食材コスト増など響く~
足元では、2022年以降累計で5万品目を超える食品が値上げされるなど、急激に進んだ物価高を背景に補正予算等で給食事業者へのコスト補填を検討・実施する地方自治体もある。ただ、「どのような根拠でコストアップ分を計算すればいいかわからない」といった声も寄せられ、給食事業者と行政の双方でコスト上昇と価格転嫁のバランスを決める場が求められる。
[注1] 帝国データバンクが保有する企業信用調査報告書ファイル「CCR」(190万社収録)のうち、「給食事業」を運営する企業データを
抽出し、調査・分析を行った。
[注2] 「給食事業」は、下記の2つの事業を対象とした
(1)学校や企業、官公庁などで従業員・顧客向けの「食堂運営」 (2)保育・介護施設など向けの「給食弁当配送」
給食事業者の3割が「赤字運営」 コスト上昇で厳しい採算状況鮮明に
給食事業では、特に学校給食などで民間に委託する自治体が増えていることから、給食需要は引き続き拡大傾向が続いている。また、給食弁当などを手掛ける企業では中食需要の増加を追い風に利用需要が拡大しており、コロナ禍に比べて増収基調となった企業が多かった。
一方で、足元では給食事業の入札に参加する業者も増えており、価格面で競争が激化している。加えて、生鮮食品や加工食品を含めた食材価格の高騰、調理スタッフや栄養士などの人手不足による人件費、原油価格上昇による光熱費の上昇が響き、当初の契約金額では賄いきれず利益面で悪化する事業者が多くみられた。一部では原材料価格の上昇を受けて受注単価の引き上げに成功したものの、再度・再々度の値上げ交渉は難航したケースがみられた。
給食事業者の2割が価格転嫁「まったくできず」 取引先との交渉難を訴える声相次ぐ
食材や人件費など運営コストが上昇しているものの、価格に反映ができない給食事業者の声が多く聞かれた。競争入札が多いため「値上げは数年に一度など制限がある」といった声や、社員食堂などでは「(値上げを)かたくなに拒絶され、取引停止を盾に交渉に応じる様子もない」など、厳しい状況を訴える声が相次いだ。価格転嫁ができた事業者でも、「何回も短期間に値上げできない」「どこまで値上げを受け入れてもらえるかわからない」といった声が聞かれた。
当レポートの著作権は株式会社帝国データバンクに帰属します。
当レポートはプレスリリース用資料として作成しております。著作権法の範囲内でご利用いただき、私的利用を超えた複製および転載を固く禁じます。
問い合わせ
<お問い合わせはこちら>