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2023.09.14

TDB特別企画レポート|旬の話題を掘り下げてお届け

「社外に向けたSNS」、企業の4割で活用  個人消費向けでは74.6%に

~SNS活用目的、「認知度向上」がトップ~
インターネットの普及によって大きく変わったのが情報発信やコミュニケーション手段。利用者の増加にあわせて世界がフィールドとなり、個人間のコミュニケーションツールのみならず、企業のPR・広告媒体としてSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)が急速に拡大している。総務省が発表した「令和4年通信利用動向調査」によると、SNSを利用する個人の割合は年々堅調に増加し、2022年8月時点では8割に達した。こうした状況下、企業が情報を発信するツールとして、SNSはこれまで以上に重要性が増している。
そこで帝国データバンクは、企業におけるSNSのビジネス活用についてアンケートを行った。

※アンケート期間は2023年9月8日~13日、有効回答企業数は1,022社(インターネット調査)

企業の40.8%が社外に向けてSNSを活用、特にBtoC企業で割合高く

社外に向けた情報発信(広報・販促)ツールとして、SNS上に企業のアカウントを持ち、活用しているか尋ねたところ、「活用している」企業の割合は40.8%と4割となった。一方で、「活用していない」企業は57.2%だった。
「活用している」企業を規模別にみると「大企業」は43.1%、「中小企業」は40.5%、うち「小規模企業」は39.3%と、規模が大きいほど活用割合が高い傾向にある。
主な業界別にみると、『小売』において「活用している」企業の割合が69.3%と突出して高く、全体を28.5ポイント上回った。また、『サービス』(47.6%)は全体より6.8ポイント高かった。個人消費関連の業種(『小売』「飲食店」「旅館・ホテル」「娯楽サービス」「教育サービス」)においては、「活用している」企業の割合が74.6%と全体を33.8ポイント上回っており、特に「BtoC」企業の多くでSNSが活用されていることが判明した。

活用しているSNS媒体、 「Instagram」がトップ

活用しているSNS媒体を尋ねたところ、「Instagram(インスタグラム)」が21.0%でトップとなった。画像や動画など視覚的なコンテンツがメインとなっており、商品や企業イメージなどが伝わりやすい点が背景にあると考えられる。次いで、ホームページとして利用できるツールなどビジネスに特化した機能が豊富な「Facebook(フェィスブック)」が17.4%、個人では日本国内でトップクラスの利用率・月間アクティブユーザー数を誇る「LINE(ライン)」が16.5%で続いた。
規模別にみると、「大企業」「中小企業」ともに「Instagram」の活用割合がトップだった。ただし、画像や動画の制作が必須である「Instagram」および「YouTube」では「大企業」が「中小企業」を大幅に上回る。中小企業は大企業と比べて人材面・費用面での制約が厳しいことが多く、コンテンツの制作がより難しい様子がうかがえる。

社外に向けたSNS活用の目的、「認知度向上」が7割近くでトップ

社外に向けてSNSを「活用している」企業にその目的を尋ねたところ、「会社の認知度・知名度の向上」が67.6%でトップとなった。次いで、「商品・サービスのプロモーション」(59.2%)、「会社や商品等のイメージの向上」(42.4%)、「顧客とのコミュニケーションの促進」(41.2%)が続いた。
一方で、「営業・受注活動」(26.4%)、「採用活動での利用」(19.7%)、「ECサイトへの誘導」(14.4%)といった直接的な商品・サービスの受注や販売、人材募集を目的にSNSを活用している企業は1~2割台にとどまった。
SNS媒体別の活用目的をみると、「LINE」および「YouTube」を除くすべての媒体で「会社の認知度・知名度の向上」がトップとなった。
SNS媒体別に全体より5ポイント以上高かった項目について、「Instagram」では「会社の認知度・知名度の向上」(76.7%、全体比+9.1ポイント)や「会社や商品等のイメージの向上」(48.8%、同+6.4ポイント)などが高かった。「LINE」では「顧客とのコミュニケーションの促進」(58.6%、同+17.4ポイント)、「X(旧Twitter)」では「会社の認知度・知名度の向上」(74.8%、同+7.2ポイント)、「YouTube」では「商品・サービスのプロモーション」(66.9%、同+7.7ポイント)などがほかの媒体と比べて高かった。
また、直接的な商品等の受注・販売に向けた目的について、「営業・受注活動」では「LINE」、「ECサイトへの誘導」および「採用活動での利用」では「Instagram」の活用が目立った。
企業からの主な声「社外に向けてSNSを活用しているまたは検討している」
・定期的にInstagramやYouTubeに動画や写真等を掲載し、会社のアピールを行っている(化学品製造)
・YouTubeでの動画配信によって、日本全国に加え海外からも問い合わせがあった。動画を見て来客した方のほとんどは何かを購入。 YouTube経由の販売が売り上げの2割を占めている(繊維・繊維製品・服飾品小売)
・Facebookで新商品PRなどをアップして、自社ホームページにリンクさせており、ホームページ自体の更新は最小限にしてある。Facebookを見て市外から訪れた顧客もいる(紙類・文具・書籍卸売)
・X(旧Twitter)を使ってのアピールは効果がかなりあり、県外や新規顧客、既存の顧客への新メニューやおすすめを発信し、集客へつながり売り上げも伸びた(飲食店)
・SNSを目にして興味を持って下さった方から連絡があるなど、それなりの効果はある。ただ、最近はなりすましやおかしな書き込みが多く、デメリットも多くなってきている(建設)

企業からの主な声「社外に向けてSNSを活用していない」
・事業内容がBtoB(Business to Business:事業者向けビジネス)であることのほか、炎上などのトラブルに対処できる組織体制やリテラシーがないことなどからSNSは利用していない(機械・器具卸売)
・BtoCではなくBtoBのビジネスで、なおかつ市場が限られているため情報発信は必要性を感じていないが、今後は分からない(建材・家具、窯業・土石製品卸売)
・残念ながら営業担当者が高齢化しておりSNSは活用していない(電気機械製造)
・社外に向けてSNSを活用したい、活用すべきと考えているが、人員不足のためそこまで手がつけられない(紙類・文具・書籍卸売)
・意図する・しないに関わらず、機密情報が流出する恐れがある。社内教育の徹底とシステム的な保護・制限が必要であるが、個人所有機の物理的な制限が難しい(輸送用機械・器具製造)

まとめ

本アンケートの結果、社外に向けた情報発信ツールとして、SNSを「活用している」企業は4割だった。規模が大きいほど活用している割合が高く、業界別ではBtoC企業で比較的高かった。SNS活用の目的について、「会社の認知度・知名度の向上」が7割近くでトップ、「商品・サービスのプロモーション」が約6割で続いた。
一方で、社外に向けてSNSを「活用していない」企業は半数超となった。SNSを活用していない企業からは、「自社の業態がBtoBであるため必要性を感じない」といった声のほか、人手不足や、SNSに関する教育を実施する余裕がないなどといった課題も聞かれた。また、情報漏洩などセキュリティ上の問題を懸念する声も複数あがった。
世界中のSNS利用者および媒体が年々増加し続けているなか、SNSは国内のみならず、海外の消費者や取引先への情報発信、コミュニケーション手段として役割が大きくなりつつある。他媒体と比べて費用を抑えることができ、瞬時に情報を発信できるといったメリットもあり、特に費用面で比較的余裕がない中小企業にとっては魅力的なツールといえる。また、SNSの効果が発揮しづらいと言われているBtoB企業でも、認知度向上のほか、企業への愛着や信頼の獲得につながり得る。
SNSを運用する人材の確保・教育、あるいは外部人材の活用のほか、自社の活用目的に合った媒体の選定や使い分けなどさまざまな対応が欠かせないものの、企業におけるSNSの活用はますます拡大していくであろう。

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